最近は、交通機関に乗るときに電子マネーを使うので、お小遣いを電子マネーとしてチャージしてしまう家庭が増えています。しかし、小学校低学年のうちは、現金で管理させるようにしましょう。現金は、実体があるので、目で見て増減がわかります。箱や缶などの中に入れて、その増減を確認させるようにしましょう。

コインを持っている
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お小遣い制を始めたら、文房具などのルールで決めた特例以外は、すべて子ども自身の持っている金額の範疇はんちゅうでやりくりさせるのが基本です。

しかし、ここを徹底できない親御さんをよく見かけます。「ほかのお友達が持っているのに、うちの子だけ持っていないのはかわいそう」などと思い、ゲームや最新のスマホを買い与えてしまうのです。ルールをなし崩しにして物を買い与えていては、基本的な経済観念が身につきません。「収入の範囲内で支出する」と考えて計画的にお金を使う、前頭葉の発達を妨げてしまいます。

小遣いの範囲内で「やりくり」させることが重要

エコノミストの勝間和代さんはご自身の著作『一生自由に豊かに生きる! 100歳時代の勝間式人生戦略ハック100』(KADOKAWA)の中で、資産運用は短期的な視点だけでなく、中長期的な視点でも運用しなくてはいけないとおっしゃっています。これは、子どもの小遣いでも子育て全般でも共通する考え方だと思います。

たとえば、子どものお小遣いが1000円だったとします。大好きなアイドルの本が1000円で売られていたら、子どもは1000円全額を使って買ってしまうでしょう。

しかし勝間さんは、資産運用の観点からすると、自分の持っているお金の20%以上を、一気に使ってしまうのは危険なことであり、予定外の出費に備えるために、自分の持っているお金の20%以上は一度に使うべきではない。このように、子どもの頃から中長期的な金銭感覚を持つべきだともおっしゃっています。

成田奈緒子、上岡勇二『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB新書)
成田奈緒子、上岡勇二『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB新書)

さらに勝間さんは、所持金の5%の金額の物は20回買えるけれど、所持金の20%の金額の物なら5回しか買えないことも理解して、買い物をするべきとも主張しています。中長期的に見れば、1000円の物がほしいときは、「月に20%(200円)ずつ貯金をして、5カ月後に1000円がたまってから買う」方が、予定外の出費などで「子ども銀行」の財政が破綻しないためにも、賢い選択だと思います。買いたい物とその値段によっては、中長期的な視点を持つことも必要でしょう。

子どもがお小遣いで自分の買いたい物をやりくりしていくのは、人生の中で初めての経済活動です。小学生でも、億万長者でも、自分のお金を使って物やサービスを買うという行為の基本原理は一緒です。親はしっかりと子どもにお金の知識を授けましょう。

さらに言うなら、子どもの脳育ても短期的な視点で見てはいけません。今ではなく成人後の姿を見据えて、大人は子どもに語るための言葉を考えていきましょう。

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