小学校から私立なら60代で家計は赤字

話を亀山さん一家に戻すと、桃子さんのように教育熱が高まっている場合、長期的な視点が欠けていることが大半なので、まずはキャッシュフロー表を作って老後までの一家の財政状況を示すことが有効です。

結果としては、2人の子どもを小学校から私立に入れた場合、祐介さんが60代に突入した時に赤字になる試算が出ました。これは、片働きの祐介さんが現役を外れた時点で給料がガクッと減ることが主な原因です。そこまでは生活の維持はできますが、本当に生活費が捻出できるギリギリのラインで、貯金もできず、旅行も行けないような状態が続くこともわかりました。

このような実態をお伝えしたところ、桃子さんが、「自分たちが老後破綻したら子どもに迷惑がかかっちゃいますね」とぽつり。今、すべてをなげうって子どもたちの将来のためを思ってしている教育が、結局、自分たちの面倒をみるためのものになってしまっては本末転倒だと感じられたようでした。

小さな男の子と木のおもちゃのドラム
写真=iStock.com/Rawpixel
※写真はイメージです

結局、桃子さんはこれまでの習い事を整理して半分まで減らし、なんとご自身も、幼児教室の先生として働きだしたのです。教室も人手不足で人材を募集していたそうで、「スーパーなどで働くのは気が進まなくても、自分が興味のあることならいいのでは?」と後押ししたところ、見事に合格。第二子の0歳のお子さんもその教室に通うことができているそうで、働きながらお子さんの教育に役立つノウハウも得られて、とても喜ばれています。これで毎月5万円の収入になる上、教室の待ち時間にママ友と行っていたカフェ代も浮き、一石三鳥くらいの効果があったようです。

受験が絡むと近視眼的になりやすい

私自身、子どもを育てる親として早期教育にはとても興味があります。知人に、早期教育を受けて有名大学に行った方がいるので、「実際、小さい時に受けた教育は意味があったと思う?」と聞いたことがあるんです。彼女から出てきた答えは、「わかんない」でした(笑)。さらに「でも、一流大学に入ったよね」とつっこんだところ、「自分がいい大学に入れたのが早期教育の結果かどうかは置いといたとしても、子どもの頃に習い事で忙しかったのがすごく嫌だった」と話していました。結局、子どもの顔を見て、そこから私たち親は学んでいくしかないのだと感じた瞬間でした。

特に受験が絡むと近視眼的になってしまいますが、どうか親御さんは長期的な視点も忘れず、金銭的にできることとできないことの境界線をきっちりと引いた上で、お子さんと二人三脚で乗り越えていってほしいと思います。

(構成=小泉なつみ)
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