地方は儲かるが、大都市圏では儲けが薄い
イオンリテールによればこの苦境は、賃上げの影響が▲53億円、水道光熱費上昇の影響が▲14億円ということです。2023年の経済動向から言えば賃上げの影響が大きいのは明らかに大都市圏です。要するにイオン全体から見れば、地方は儲かるが首都圏、大都市圏は儲けが薄い、そして首都圏、大都市圏では食品スーパーは儲かるが総合スーパーは儲からないという構造がより明確になったのが今回の決算発表ではないでしょうか。
イトーヨーカドーの縮小高収益化戦略では店舗戦略は首都圏にフォーカスすると明言しています。イオンが首都圏に弱いからそこにフォーカスするのか、それともイトーヨーカドーが首都圏にフォーカスすることでますます首都圏が儲からなくなるのか、因果関係はこの後の2年間の決算発表ではっきりすることになるでしょう。
冒頭申し上げたように、報道のトーンではイオンとセブン、小売流通の2大巨頭が揃って増益という明るいニュースが流れています。ただその内訳を見ると、日本の小売業界ではもう一ステージ、大都市圏を戦場とした血みどろの抗争が繰り広げられることになりそうです。