100%が理想だが80%でもよしとせよ

俺にはいろいろな顔がある。全部ビジネスとするなら、今のテンションはどれくらいかというと、頑張っても8割。そんなに努力したくないからね(笑)。

100%やれる性格だったら、また違う成功をしていたと思うけど。そこを目指せるところにはいけたとしても、肝心かなめの“欲”がないんだと思う。だとすると、欲、欲望というのは、目指すゴールにたどり着く、その最後の一歩なんだろう。

もちろん、出すべきタイミングでは全力の100%出したほうがいいに決まっている。俺の生き方は決しておすすめできない。でも、この世の中、俺みたいな考え方の人のほうが多いんじゃないかな。

それに、実はこれって、会社の中でもけっこう大切なスキルだと思う。

手の抜き方がわかっているヤツは、1割、2割の余力を残して「限界です」と白旗をあげる。常に限界まで頑張るヤツは、ガッツがあるように見えて、結局は仕事を途中放棄してかえって周りに迷惑をかけたりもする。

たとえば、「全力でサンドバッグを100回蹴ってみろ」を言われて、1回目から全力でやって80回で限界が来るヤツと、100回まっとうすることを優先して、そこそこの力で蹴り続けるヤツ。スポーツの世界では前者のほうがよしとされるかもしれない。

でも、ビジネスの世界では? たいがいは、与えられた仕事をまっとうするほうだろう。「与えられたタスクで、自分に今求められていることは?」と、常に仕事を受ける意味を考えておくべきだ。まあ、80パーセント人間の開き直りかもしれないけどね(笑)。

サンドバッグを蹴る格闘家
写真=iStock.com/herraez
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満身創痍で生きる

俺の今の生き方、考え方を大きく左右した「けが」の話をしよう。

首のけがは新人時代と、1992年の2度目のG1クライマックス制覇のとき、そして1998年のnWo JAPAN時代。3回目もIWGPヘビー級で初めてチャンピオンになったタイミングだ。自分の中でムリをすると、限界を超えて古傷が出てきてしまうという流れだったよね。

最初に頸椎けいついを痛めたのは、デビューから2、3カ月の頃。それがもとで1カ月くらい、約2シリーズほど休むことになってしまった。痛みはなかったけど、立ちくらみが止まらなくなってしまったんだ。長年にわたる首との闘いがそこから始まった。

プロレスラーは首、腰、膝、肩……全部痛めている選手ばかり。俺も腰椎の痛みが出てきたのは、膝の負傷で全身のバランスが崩れて背骨が側弯したことが原因だ。膝も左の前十字靱帯じんたいと内側靱帯が切れてしまった。外側と裏十字のけんは残っているけど、今、この瞬間にも膝に痛みが出ている。病院に行くと「グラグラですね」と言われる始末だ。

関節まわりのどこか1カ所に不具合が出ると、それをカバーしようとしていろんなところにガタが来るんだよね。