ブランド力のないお店がFCオーナーを集める「逆転の発想」
ブランド力のないお店が、いかにしてFCオーナーを集めるか?
おそらくFCでの展開を考えているほとんどの会社、ならびに社長が直面する問題ではないかと思います。
普通のやり方では、まずFCオーナーは集まりません。
かといって、「ブランド力を構築してからFC展開」というプロセスを辿ろうとすると、莫大なお金がかかりますし、何より時間がかかりすぎてしまいます。
この問題をどうやってスピード解決すべきか?
僕が考えたのは、「店舗救済」という形で「救いの手」を差し伸べれば、ディアーズにすがってくれるのではないかということでした。
借金を一緒に返すぐらいの姿勢で臨めば、僕からFCのお願いをするのではなく、逆に相手の方から、僕にすがってくれるのではないかと考えたのです。
こうした言わば「逆転の発想」で、僕はこの問題をスピード解決しました。
この時のエピソードを人に話すと、次のように言われることがあります。
「ダメだったらうちの社員にするとか、借金を一緒に返していこうとか、初対面の人に対して、どうしてそこまで言えたんですか?」
理由は簡単で、「必ず黒字化できる」という確信があったからです。
彼のお店は家賃10万円ほどで、うちの美容室の家賃と同じ水準でしたし、何より、うちのお店よりも人口が多いエリアで出店をしていました。
ですから、やり方さえ変えれば、必ず黒字化できるという確信がありました。
あとは彼に対して、「新しい挑戦」を促すだけです。
新しい挑戦にはリスクが伴いますから、誰しもが恐怖心を持つものです。
ですから、人間は何かと「やらない理由」を考えて、新しい挑戦を回避しがちです。
そこで、僕は「失敗したらうちの社員にする」「借金を一緒に返そう」と提案しました。
そこまで言われれば、彼からすると、やらない理由がなくなるからです。
はたして、彼は新しい挑戦の道を選びました。
その結果、1カ月間の売上が約20万円だった彼のお店は、3カ月後に売上80万円に急成長しました。
現在、彼はディアーズで3つの店舗を持つFCオーナーとして活躍中です。
奥様から「次の店舗はいつ出すの?」と毎日ケツを叩かれているそうで、「赤字ばかりで、なんで独立なんかしたの……」と小言を言われる日々から、大逆転の人生を送っています。
固定概念にとらわれずにFC展開を広げたセブン‐イレブン
このように僕自身は「逆転の発想」でFCでの展開を始めましたが、今、振り返ってみて思うのは、「固定概念にとらわれてはいけない」ということです。
現在の日本には様々なFCがありますが、固定概念にとらわれずにFCを成功させた事例として、とりわけ身近なのは、コンビニエンスストアであるセブン‐イレブンではないでしょうか?
ここで、セブン‐イレブンがどのようにしてFC展開を始めたのかについて、簡単に経緯を振り返ってみましょう。
時は高度成長期。
大型スーパーが全盛の時代で、イトーヨーカ堂は出店を加速させていましたが、その一方で、地元の商店街にある中小の小売店からは「イトーヨーカ堂が来たら売れなくなる」と猛反発を受けるようになっていました。
幹部として、地元の商店街と交渉にあたっていた鈴木敏文さんは「商売はやりようだ。大型店と中小小売店は必ず共存共栄できるはずだ」と考え、その道を模索していたそうです。
そんな中、鈴木さんがアメリカで出会ったのが、セブン‐イレブンでした。
最初は「アメリカにもこんな小売店があるのか」としか思わなかったそうですが、帰国後に調べてみると、サウスランド社が北米で4000店のチェーンを展開している超優良企業でした。
鈴木さんはセブン‐イレブンを日本に持ち込めば、「大型店と中小小売店の共存のモデルを作ることができる」と考えたそうです。
社内からは猛反発を受けました。
「商店街のお店の多くが衰退している中で、セブン‐イレブンのような小型店舗が日本で成り立つはずがない」というわけです。