満足度が向上し、離職率も改善

これをやると、まず研修の満足度が、以前の社内研修に比べて1.4倍から1.6倍に向上します。しかも、その後の離職率が改善した企業は85%(39社中33社)もありました。

中には「この会社に在籍して学んでいたほうが自分の市場価値を上げることができる」と答える打算的な若手社員もいましたが、せっかくコストをかけて若手社員を採用したのに、士気が下がって退職されてしまうよりずっとよいのではないでしょうか。

市場価値の高い人材を育成することができれば、会社の業績にも貢献します。労働時間の増減だけにとどまらず、会社と社員の成長を両立させることを目的として、手段として労働時間の使い方を考えてみてください。

「自由」は与えられるものではない

一方で、企業側が学び方改革を実行してくれるのをただ待っているわけにはいきません。若手ビジネスパーソンのみなさん個人にも、ぜひお伝えしたいことがあります。

いま見たように、20代、30代を取り巻く環境は難しいものとなる一方です。自分ではもっと学びたいのに、会社が、社会がそれを許してくれない。先輩が自分たちの年齢のころにはもっといろいろな経験ができたのに……と嘆く気持ちもわかります。

壊れた鳥かごから羽ばたく鳥
写真=iStock.com/Mihaela Rosu
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クロスリバーとして815社の働き方改革を支援する中で、若い世代のビジネスパーソンにもたくさん出会ってきました。

その中で1つ強く感じたことがあります。それは、「Freedom(個人の意向に従って行動する自由)」と「Liberty(自ら勝ち取った自由)」を取り違えている若者が意外に多い、ということです。

GW明けに「起業したい」という相談が必ず増える…

いまは空前の「売り手市場」になっています。勤めている会社を辞めても、次に行く先は見つけやすい状況です。

すると、「こんな会社に居てもしょうがない」「未来がない」「だったら、起業したい」となる人が多いのです。毎年、大勢の若者が希望を胸に会社に入社しますが、GW明けには「起業するにはどうしたらいいですか?」という相談が殺到します。

思うがままにやりたい気持ちはわかります。しかし、現状のまま40代、50代となったらどうなるでしょう。十分にスキルを磨かず、専門性もないままでいたら、年齢を重ねるごとに市場価値は下がっていく一方です。「若さ」は労働市場で武器になりますが、その賞味期限は想像以上に短いのです。