自社の制度や環境の良し悪しにかかわらず、自らスキルを磨き、本当の「自由」を手にするために、迷える若いビジネスパーソンに勧めたいのは「複業」です。片手間でやる「副業」ではありません。文字通り、与えられた業務のみならず、みずから進んで複数の業務、複数の仕事を遂行し、「できること」をどんどん増やしていくのです。
それは時に、所属企業の枠を超えることもあるかもしれません。
これからのビジネスの世界はオープンワールド化する
拙著『29歳の教科書』で詳しく述べていますが、これからのビジネスシーンはRPGゲームでいうところの「オープンワールド」化していきます。
マーケットという名のオープンワールドを舞台に、あなたは冒険の旅に出るのです。
所属先がどこであれ、「できること」を明確に持ったプロフェッショナルたちが、「ギルド」で受託した「クエスト」ごとに「パーティ(プロジェクトチーム)」を組んで、職務を遂行していきます。難易度の高いクエストをやり通したパーティのメンバーにより大きな報酬が配分されるのも、RPGとまったく同じ。
しかし、そこで「若さ」に胡坐をかいて時間をただ漫然と浪費し、年齢を重ねただけでなんら「スキル」を持たないキャラクターがいたらどうでしょう。パーティへの参加を希望しても承認されず、誰からも声はかからず、やることが何もない状態になりかねません。
ビジネスパーソンも同じです。会社が業務を与えてくれることが「当たり前」ではないことは、誰もが「そのとき」が来て初めて痛感します。しかし、気づいたときにはもう取り返しがつきません。
だからこそ、20代30代の「いま」が大切です。
20代で身に付けた習慣で人生が分岐する
現在あなたを取り巻く環境、周囲の上司・先輩は理想的なものではないかもしれません。しかし、そこで他責思考になってはなりません。むしろ、「環境が整っていないなら、自分が作ればいい」という発想になってほしいのです。新しいものごとや仕組みを作り上げる習慣を身に付けましょう。
20代、30代のうちにそうしたアクションを習慣化したビジネスパーソンは、経験と実績を積み重ねることで、文字通り「引く手あまた」の存在になっていきます。年齢を重ねるとともに、持てる才能はますます大きく花開きます。
大きくジャンプするためには、その前に「しゃがむ」ことが必要です。もどかしさを感じるいまは、あなたは「しゃがんでいる」だけなのです。その先にジャンプをするのか、そのまま座り込んで立ち上がることさえ忘れてしまうか、それを決めるのは「あなた自身」です。
『29歳の教科書』は、20代30代のビジネスパーソンが一歩を踏み出すための実践ガイドです。本書も参考にしながら、来る「ビジネスの未来」を見通し、具体的に行動を起こしていただければ幸いです。