なぜ親たちはSNSに子どもの写真を投稿するのか
保護者はなぜSNSに子どもの写真や動画を投稿するのだろうか。
0歳から小学校高学年までの子どもを持つ保護者を対象としたピクスタの「子ども写真のSNS投稿に関するアンケート」(2023年3月)によると、子どもの写真をSNSに投稿する理由は、「家族や友達に近況を伝えたい」(54.5%)と「子どもの成長の記録として残したい」(52.1%)が約半数を占めた。「同じ年頃の子どもを持つママ友・パパ友と繋がりたい」も28.8%と、約4人に1人いる状態だ。
核家族での子育てはワンオペ育児になりやすく、追い詰められてしまう保護者は少なくない。筆者も経験があるが、「なかなか寝ない」「離乳食を食べない」「夜泣きがひどい」「子どもの預け先がない」など、子育てに悩みは尽きない。そんなときに、先輩パパ・ママからの情報や、同世代の子どもを持つパパ・ママからの励ましが助けになったり、救いになったりすることは多い。
知人友人などへの成長報告に使える上に、あとで見返すと成長記録として楽しめる部分もある。SNSへの子どもの写真投稿には、たしかにメリットもあるのだ。
児童ポルノサイトに子どもの写真が転載されていた
一方で、同アンケートでは「あなたやあなたの周りで、お子さんの写真をSNSに投稿してトラブルになったことはありますか?」という質問に対しては、約4割が「ある」と回答した。内容は「知人のお子さんも写っており、苦情を受けた」(36%)、「個人情報を特定された」(30%)、「写真を無断使用された」(16%)などとなっている。
子どもの写真をSNSに投稿することはさまざまなリスクをはらんでいる。具体的には、上記のアンケートにもある通り個人情報が流出すること、それによって子どもの身に危険が及ぶこと、投稿された写真が悪用されてデジタルタトゥーとなってしまうこと、さらには子ども自身の同意を得ていないために将来親子の関係にヒビが入ることなどが考えられるだろう。
実際に、わが子の裸やおむつ交換の様子など露出の多い写真をSNSにあげていたら、それが児童ポルノサイトに転載されていたという例を耳にしたことがある。偶然見つけた人から教えてもらい、通報して削除したものの、「どこかに残っているかもしれない」と怖い気持ちが消えないそうだ。
また、あるブロガーが子どもの写真をネット上に投稿していたところ、保育園の入り口で読者に待ち伏せされ、「○○くんだよね」と声をかけられたという。このときは犯罪にはつながっていないが、見る側の意志ひとつでいくらでも悪用できてしまうことがわかるだろう。
海外では、オーストリアの10代の少女が写真の投稿をめぐって両親を訴えた事例もある。おむつ交換やトイレトレーニング写真などが500枚以上Facebookに上げられており、両親に削除を求めても応じないため、訴える羽目になってしまったのだ。幼い頃の恥ずかしい写真が誰でも見られる状態で投稿されていたら不快に思うのは当然だろう。