「ハンコください」ではダメなワケ

昨今はビジネス文書のデジタル化が進み、上司に捺印をもらう機会は減少したかもしれません。とはいえ、紙でのやりとりが主流の企業もありますし、捺印が必要なケースもあることでしょう。

判子であれ電子印鑑であれ、上司に承認印をもらう時の頼み方には注意が必要です。一般的なのが「ここにご捺印をいただけますか?」。言い方として悪くはないのですが、果たして捺印を依頼する根本的な意味を理解しているでしょうか。

捺印は、昔も今も責任が伴う大切な業務です。捺印したということは、内容を承認したという証しなのです。上司に頼むのは、「判子を押す」こと以前に、「内容を確認してほしい」ということ。ここをわかっていない人がけっこういます。

「恐れ入りますが、こちらの書類にお目通しいただき、よろしければご捺印をお願いします」が正しい頼み方です。あくまでも、依頼→確認→承認→捺印という流れであることを忘れずに。

上司に「時間をください」のベストな言い換え

上司への頼みごととして、捺印と並んでよくあるのが「時間をください」ということ。相談や確認のため、1対1で話をする時間を設けてもらうことで防げるトラブルは数多くあります。

諏内えみ『一生ものの「正しい敬語と上級の気遣い」 先生! ダメダメな私を2時間で仕事デキる風にしてください!』(KADOKAWA)
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その際、「ヒマな時があれば……」と言うのは言語道断にしても、「いつなら大丈夫でしょうか?」「ご都合のよい日を教えていただけますか?」と大まかな聞き方をしていないでしょうか。

相手(上司)が「じゃあ、今日の15時で」と言ったとして、その時間に会議が入っていたとしたら「あの……、その時間は会議で……」と答えざるを得ません。「じゃあ、逆にいつならいいわけ?」と返される危険性もあります。

都合を聞く時は、「ご都合のよい日時を、3つか4つ挙げていただけるとありがたいのですが」と、複数の候補をもらうようにしましょう。複数あれば、どこかしらで調整はできるものです。「いくつかいただけますか?」ではなく、「3つか4つ」と具体的な数を示すことで、互いにストレスなくコミュニケーションができます。

曖昧で漠然としたままやりとりを続けていると、必ずミスが起こります。「わかったつもり」「わかっているだろう」という思い込みも、ミスの火種になります。ひとつひとつの業務を明確化し、「デキる部下」として評価を高めていきましょう。

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