水ぼうそうに感染したことのない子どもにはうつる

なかには、まさか自分が帯状疱疹になっているとは気づかず放置し、重症化するケースも見られます。帯状疱疹は発症後すぐに抑え込まなければならず、早期治療が一番大切です。特に働き世代は仕事も休みづらく治療開始が遅れるケースが多く、重症化すれば入院が必要になることもあります。また、前述の通り治療が遅れるとPHNの発症リスクも高まり、後遺症に悩む方も多いようです。

帯状疱疹の初期症状は分かりにくいですが、「小さな虫刺されのようなものができた」「筋肉痛やコリを感じる」「皮膚がヒリヒリ、ピリピリ、チクチク」といった、いつもと違った違和感に気づいたら、帯状疱疹かもしれないと疑い、早めに皮膚科を受診するようにしましょう。

若い世代への発症増加に際し、もう一つ注意しなくてはいけないことがあります。それは、帯状疱疹としては他の人にはうつらないが、水ぼうそうに感染したことのない子どもにはうつる、ということです。

親の指を握る赤ちゃん
写真=iStock.com/bernie_photo
※写真はイメージです

帯状疱疹の水ぶくれの中には「水痘・帯状疱疹ウイルス」が存在し、水ぼうそうになったことのない人に対しては、主に接触により水ぼうそうとしてうつることがあります。20~30代は特に小さいお子さんと生活している方も多く、うつしてしまう可能性があるため、水ぶくれがかさぶたとなって完全に乾燥するまでは、子どもとの接触はなるべく避けましょう。

また、乳児や水ぼうそうのウイルスに免疫を持たない母親から生まれた赤ちゃん、妊婦は水ぼうそうが重症化するリスクが高く、妊娠中に発症した場合には、先天性水痘症候群の子どもを出生することがあります。帯状疱疹を発症した方は、特に赤ちゃんや妊婦との接触は避けるべきだとされています。

発症したら早く治療することが重要

最後に、帯状疱疹になってしまった際の注意点をお伝えします。

帯状疱疹は疲労やストレスが原因となり、免疫力が低下したときに発症します。十分な睡眠と栄養をとり、精神的・肉体的に安静を心がけましょう。また、患部が冷えると痛みは増します。患部は冷やさず、できるだけ温めて血行をよくしましょう。入浴やシャワーも問題ありません。優しく洗い清潔にして、入浴後は処方された軟膏を塗りましょう。ただし、水疱をつぶしてしまうと、帯状疱疹ウイルスによる二次感染の危険性もありますので、十分に注意してください。同じ浴槽にほかの家族が入っても問題ありませんが、水ぼうそう未発症のお子さんがいる場合は先に入れましょう。

高齢者の病気だと思われていた帯状疱疹ですが、今は年齢に関係なく注意する必要が出てきました。帯状疱疹は、発症からいかに早く治療するかで予後の経過が大きく変わります。もしかしたら、と思ったら、まずは皮膚科を受診しましょう。

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