日本人成人の90%以上はウイルスを持っている
最近テレビやCMでもよく目にする帯状疱疹。コロナ禍のストレスで患者は増加傾向にあるといわれています。ある調査では、コロナ禍以降の帯状疱疹の診療について医師に尋ねたところ、4人に1人が「増加している」と回答しています。(m3.com 臨床ダイジェスト「コロナ禍での帯状疱疹患者、医師4人に1人が「増加」」2022年5月20日)。帯状疱疹の発症メカニズムや特有の痛み、後遺症、ワクチン接種による予防などについてご紹介します。
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる皮膚病です。子どもの頃に水ぼうそう(水痘)を発症したことがある人は、体内にこのウイルスが残っており、これが何らかの要因で再活性化したときに発症します。
ウイルスの再活性化のきっかけとしては免疫力の低下が挙げられるので、持病があったり、疲労や過度なストレスがかかったりしたときに発症しやすくなります。日本人成人の90%以上はこのウイルスが体内に潜伏しており、帯状疱疹を発症する可能性があります〔国立感染研究所「年齢/年齢群別の水痘抗体保有状況 2017年」〕。
さらに、加齢も大きな要因で、50歳以上から発症率が高くなり、80歳までに3人に1人が発症するといわれています(厚生労働省「帯状疱疹ワクチン ファクトシート」平成29(2017)年2月10日)。
「ピリピリする」「チクチクする」特有の痛み
帯状疱疹の初期症状は、体の左右どちらかの神経に沿った皮膚の痛みです。再活性化したウイルスが神経を傷つけながら皮膚に向かうことから痛みが生じます。「ピリピリする」「チクチクする」「針で刺すような」などと表現される特有の痛みがあります。その後、皮膚に小さなぶつぶつ(発疹)ができ、水ぶくれへと変化し、次第に数が増え帯状に広がります。痛みと発疹がほぼ同時に出る場合もあります。上半身を中心に、背中や脇腹などに出る方が多いですが、顔面や目の周りに出る場合もあります。
治療は、原因となるウイルスを抑える抗ウイルス薬が中心となり、内服薬のほか塗布薬、点滴、注射とさまざまです。重症患者に対しては入院による点滴治療、強い痛みに対しては神経ブロックという治療が行われる場合があります。