「メタボリックシンドローム」は様々な疾患の原因と言われているが、犬の肥満は大丈夫なのだろうか。獣医師の長谷川拓哉さんは「犬の場合も糖尿病などのリスク要因になる。愛犬の約半数は過体重というデータもあるが、飼い主の大半が認識していないのが実情」という――。

※本稿は、長谷川拓哉『愛犬の健康寿命がのびる本 うちの子がずっと元気に暮らす方法』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

体重計に重量超過と表示された犬
写真=iStock.com/Monica Click
残念ながら「愛犬の約半数」は太りすぎ(※写真はイメージです)

愛犬の約半数は「過体重」

肥満のワンちゃんにはどうすればいいのでしょうか。

愛犬の約半数は過体重というデータがあります(米国ペット肥満予防協会の調査研究より)。

経験上、飼い主さんの9割が愛犬の肥満に気づいていません。

人間の場合、メタボは生活習慣病のリスクにもなります。犬の場合も肥満は糖尿病などの病気のリスクになるといわれています。

ただ、肥満だからといってすぐ病気になるわけではないケースも、獣医師として数多く経験しています。

ものすごく太っているのに、血液検査の結果は健康そのものという子もいました。

過去に1頭だけ肥満による多臓器不全で亡くなった子もいましたが。

ただ、太っていると関節炎になりやすいため、歩きづらくなるワンちゃんは多いです。

人間のBMIにあたる「BCS」

犬にも理想的な体重があります。

人間の「適性体重」の目安として「BMI(ボディマス指数)」がありますが、犬の場合は「BCS(ボディコンディションスコア)」といいます。

「BCS」には5つの段階があり、「BCS1」は「やせ」、「BCS3」が「理想的」、「BCS5」は「肥満」となります。

適度に脂肪がついていて、肋骨ろっこつにさわることができ、腰のくびれが見られるのが理想体型です。

上からさわっても肋骨には容易にふれられず、腰のくびれがほとんど見られないようなら、太りすぎと考えていいでしょう。

体重ではなく体格で判断するので、飼い主さんにもわかりやすいと思います。