「ダイエットフード」で体重は落ちない

動物病院で「この食事をあげてください」と、ダイエットフードを紹介されることもあると思います。

病院で出しているダイエットフードは、満腹感を与えるために、胃の中に止まる時間が長くなるように設計されています。いわゆる食事療法食です。

カロリーも抑えめで、必要なビタミン、ミネラルも入っていて、腹持ちがよくなるように食物繊維も多めに入っていることが多いようです。

確かに食物繊維はコレステロールを増やさないのですが、それだけで体重が落ちるわけではありません。

「この食事に変えて、定期的に体重を測っていきましょう。これを食べれば適正体重に近づきます」

と言われて、飼い主さんは、太っている子にダイエットフードを与え続けます。

ところが、1カ月、2カ月たってもやせる気配がない。

飼い主さんは「このフードを食べさせているから大丈夫」「でもなかなかやせないのはどうしてだろう」と思います。

「おやつもやめましょう」と言われて、おやつもやめているのに……。

やせない理由は「水分不足」

なぜやせないのかというと、多くの場合、水分不足で代謝が悪いことが考えられます。

私の経験上も、水分を多めにとったことで、体重が適正になったワンちゃんがいます。

「食事をダイエットフードに変えたのにやせない」というご相談があり、手作り食をおすすめしました。すると食事を水分多めのおじやにしただけで、それまでなかなか落ちなかった体重が、ストンと落ちたのです。

おそらく、そのワンちゃんは水分量が圧倒的に足りなかったのだと思われます。

尿の量や飲水量にもよりますが、この症例を経験して、水分をとることで代謝のいい体に変えることの大切さを実感しました。

器に入った水を飲む犬
写真=iStock.com/PK-Photos
やせない理由は「水分不足」(※写真はイメージです)