犬のエサやりでは、どんなことに気をつけるべきなのか。獣医師の長谷川拓哉さんは「高齢犬の病気の9割は『隠れ水分不足』によるもの。ドッグフードをそのまま与えず、水でふやかして与えたほうがいい」という――。

※本稿は、長谷川拓哉『愛犬の健康寿命がのびる本 うちの子がずっと元気に暮らす方法』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

ドッグフードを食べるラブラドール・レトリーバー
写真=iStock.com/Agustin Vai
ドッグフードをそのまま与えてはいけない(※写真はイメージです)

飼い主は犬の水分不足に気づかない

飼い主のみなさんには、飼っているワンちゃんの水分が足りていない、という認識はあるでしょうか。

「犬だって喉が渇いたら自分で水を飲むから問題ない」
「動物の本能で、水を飲まないときは体が欲していないだけ」

などと思っている飼い主さんもいるかもしれませんが、経験上、水をあまり飲まないワンちゃんはとても多いのです。

たくさん運動して、喉が渇いて水分を欲して自ら飲む、という状態が理想的ですが、毎日そんな状況をつくるのは難しいでしょう。

普通に生活して、散歩をしているからといって、水を必ず欲するかというと、そうではありません。

犬からすれば、「水分が足りていない」などという自覚はもちろんありません。

水分が足りなくても若い犬であればなんとかなりますが、高齢犬になると、体力も落ちてくるため、水分不足の影響が出てきやすいのです。

シニア犬が注意すべき「隠れ水分不足」

高齢犬の病気の9割は「隠れ水分不足」が原因。とくに8歳以降のシニア犬には「隠れ水分不足」が多く、水分摂取はとても重要です。

人間でも高齢者になると熱中症で倒れる方が増えます。

圧倒的に体内の水分が足りていないのに、「喉が乾かなかったから全然水を飲んでいなかった」というケースも多いようです。犬も同じなのです。

私は普段、自分のクリニックのほかに夜間救急の動物病院でも診ています。

ある夜のこと、中型の雑種のワンちゃん(12歳・オス)が痙攣けいれんを起こしたということで受診に来ました。

高齢だったこともあり血液検査をしましたが、内臓には問題がありませんでした。

ただ、血液検査で循環が悪いことがわかったので、飼い主さんに水分摂取について聞くと、「普段からあまり水を飲みません」と言います。