顧客軽視の会社が辿る末路

――現在もこの方針を貫いているのですか。

【磯﨑(孝)】その後、当社はスバルのサブディーラーからスズキの正規ディーラーへと立ち位置が変わりましたが、「会社を儲からないようにする」という方針は一部形を変えつつ現在に至るまで堅持しています。

おかげさまで会社の業績もおおむね右肩上がりで順調に推移し、今日に至っています。昨年度は全国のスズキ副代理店3700店中、17位の販売台数を達成することができました。

――ビッグモーターとは正反対の方針を掲げても、会社は成長できるということですね。

【磯﨑(拓)】ビッグモーターのような顧客軽視のスタンスでは、将来にわたって業績を伸ばし続けていけるとは到底思えません。目先の売上、目先の利益を血眼になって追い求めることで一時的に業績を上げることができても、阿漕な商売を続けていればいずれ顧客は離れていきます。

やはりお客さまに喜んでいただくという姿勢が何より大切で、その結果としてお客さまとの絆が深まり、繰り返し当社をご利用いただける顧客を増やすことにつながるのだと思います。

顧客の利益を第一にしたからできること

EV時代が目前に迫り、自動車販売業は今後、厳しい環境にさらされる可能性が高くなりました。しかし、顧客さえしっかりとつかんでいれば、事業の新しい選択肢も見えてきます。

例えば当社は昨年、新たに生命保険事業に参入したのですが、長年にわたり築き上げてきたお客さまとの関係性がベースとなって、順調な滑り出しを見せています。

20年後、30年後には経営環境が激変し、当社の中心事業は現在とは大きく変わっている可能性もあります。

しかし、今後どのような事業に注力するにしても、お客さまの利益を第一に据えるというスタンスは変わりません。理念として掲げてきた「顧客の創造」も揺らぐことはないと考えています。

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