学生時代から本を読むのが好きで、特に浪人時代は、勉強に飽きると谷崎潤一郎や三島由紀夫の小説を読んでいた。社会人になってからは歴史ものに興味を持ったが、最近人気の幕末ものではなく、私が心惹かれたのは戦国時代を描いた本である。

三菱地所会長
木村惠司

1947年、埼玉県生まれ。県立浦和高校、東京大学経済学部卒。70年三菱地所入社。96年秘書部長、2000年取締役企画本部経営企画部長、03年常務執行役員、04年専務執行役員兼ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ社長。05年社長、11年4月より現職。

「戦国武将のなかで、誰がいちばん好きか」と問われたら、迷わずに徳川家康の名をあげたい。徳川家康を主人公にした戦記物はたくさんあるが、得るところが大きかったのは、家康という人物を掘り下げた、司馬遼太郎の『覇王の家』である。24、5歳のときに読んだ本だが、ビジネスパーソンとして、また人の上に立つ者として大事なことを学んだと感じている。