月の対地速度は、かなり規則的に、正弦波のような形で変化する。1カ月に2回ずつ、高速で動いている赤道を通過する際に、ピークに達する。その後、動きが遅い回帰線の上を通過する際に最低になる。月の軌道(公転)速度も、軌道上の近点(地球に最接近する点)と遠点(地球から最も遠ざかる点)のどちらにあるかによって変化する。このような次第で、月の対地速度はおおよそ正弦波の形で変化する。
さて、ジャンプする用意はいいかな?
大気圏に突入するなら「2025年5月1日」がオススメ
わかりました、ありますよ。月の対地速度をとことん正確に特定するために考慮すべきサイクルがもう1つある。月の軌道は地球と太陽がなす面に対して、約5度傾いている。一方、地軸の傾きは23.4度だ。したがって、月の赤緯(ある天体が天球上の赤道から北または南にどれだけずれているかを表す角度。その天体が地球上のどの緯度の真上にあるかを表す)は太陽のそれと同様に変化し、北回帰線から南回帰線へと1年に2回移動する。
しかし、月の軌道面も傾斜しており、この傾斜を保ったまま18.6年周期で軌道面が回転している。月の傾斜が地球のそれと同じ方向のとき、月は太陽よりも5度赤道に近く、反対向きのときは、月はそれより高い緯度に達する。月が赤道から大きく離れるほど、月の対地速度は低下し、その結果正弦波の極小部は一層低くなる。これが、今後数十年間にわたる月の対地速度の変化のグラフだ。
月の最高速度はほぼ一定だが、最低速度は18.6年周期で上下する。次の周期の最低速度は2025年5月1日なので、あなたが2025年まで待てるなら、棒が地表に対してたったの秒速390メートルで運動しているときに大気圏に突入することができる。