「会社の値段」を決めるには
M&Aの市場では、明確なルールではありませんが、会社の値段を決めるときは、次のような計算式を1つの目安としています。
純資産というのは、会社が保有している資産から負債を引いたものですが、長年経営されている中小企業では、資産は減価償却が終わっていてほとんどなく、借り入れが結構大きいので純資産が薄い。営業利益もほとんどないという会社はたくさん存在します。
この計算式をもとに考えれば、そうした会社を買う場合は「1円」でも交渉できます。これが先に、「1円でも買える会社はある」といった理由です。
営業利益ゼロの会社を買う意味
「純資産も営業利益もない会社を買って、はたして意味があるのか?」という意見があるかもしれません。
しかし、役員報酬がきちんと支払われていて、営業利益がゼロという場合ならどうでしょうか。オーナー社長になれば、会社からそれなりの役員報酬を得ることができ、「労働収入」(オーナーとしての報酬ではなく、自分が働いて得るお金)にはなりますが、「一定の意味」はある、と考えられませんでしょうか。
さらに、買収後に経営のテコ入れをすれば、営業利益が上がる可能性はあります。そこをしっかり見極めれば、“買い”の会社は1円でもちゃんと存在するのです。
それだけではなく、近年すっかり充実した事業承継等に関する融資制度を使えば、借入金で億単位の会社を買うことも可能です(詳細は『いますぐサラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』参照)。自己資金1円でも、その手元資金だけで会社を買うことができる、ということです。
ちなみに、「手元資金300万円だけで買える会社を」と考えた場合、一般の方は、家族+アルバイトで経営しているごく小さな規模の会社をイメージされるかもしれません。しかし、上記のように借り入れも組み合わせることで、従業員数十人〜100人規模、売上高数億〜数十億円規模の中小企業を買うことは十分できます。
「買いやすいビジネスモデル」は存在する
こういう話をすると必ずと言っていいほど聞かれるのが、「では、どういう会社を買えばいいか?」という質問です。
どういう会社を買えばいいかについての詳細は『いますぐサラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』にあたっていただくとして、その中で、確かに「買いやすいビジネスモデル」というものは存在します。
本稿では、その4つの基本ポイントを紹介しましょう。