「稼働率」が経営改善のポイントだった

Pさんによれば、会議室全体の稼働率は5割くらいで、深夜は基本的にゼロ。午前中は、平日の利用がごくわずかで、土日は5割。午後は、平日の日中が5割で、土日が約7割。夜は平日の稼働率がよく、土日は少なかったそうです。

そこで、買収後に稼働率が低かった深夜の利用料と平日の午前中の利用料を値下げしました。それにより、深夜は意外にも「仮眠用」として会議室を利用する人が増えて、稼働率が上がりました。

次に、販促の一環として、リピーター確保のために、会議室に名刺サイズのパンフレットを用意。そこに、二次元バーコードと半額オフクーポンをつけました。

二次元バーコードを読み取れば、そのまま予約サイトへ飛べるようにしたのです。さらに定期利用は20%引きというお知らせもつけました。もう1つ、新規利用者獲得のためにA4サイズのチラシを用意。業者を使って、会議室付近のオフィスエリアにポスティングしてもらったそうです。

金銭的リスクのない理想的な買収

この買収のいいところは、金銭的リスクがほとんどないところです。

何もしなくても現状で月に4万円の利益があります。保守的に見積もって、年に30万円くらいの利益は出る。そこから税金を引かれて税引き後利益が約20万円になる。200万円の投資額は10年で回収できる計算です。

これはあくまで「現状のまま続けると……」という前提です。稼働率が少しでも上がれば実際の回収期間はもっと短くなり、そこが“伸び代”となります。

最初に200万円を出して、その後はほぼ放置しておくだけで最低でも毎年20万円の利益が出るなら、サラリーマンの方が副業で行う形でもできそうですよね。

しかも、Pさんは、貸し会議室運営のノウハウを身につけ、1号店の場所があまりよくないことにも気づき、2店舗目を人通りの多い場所に出店しました。それにより、倍以上の利益が出るようになっています。

けっして荒唐無稽こうとうむけいな話ではなく、「300万円で会社を買う」ということをリアルに感じていただけたでしょうか。