年間約1万3000件…日本の山火事の特徴とは

日本でも山火事は毎年、多発している。林野庁が今年7月に公表したところでは、2021年まで5年間平均で年間約1万3000件も発生している。その焼失面積は年平均724ヘクタール、損害額が同3億5000万円。発生件数は短周期で増減を繰り返しながらも、長期的には減少傾向としている。

燃え盛る山火事の炎
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山火事の発生で国内外の大きな違いは、海外が落雷などの自然発火も少なくないのに対し、国内では焚火や野焼きの火入れ、放火、たばこのポイ捨てなど人的要因が多いのが特徴で、冬から春にかけて空気が乾燥しているときに多いとされる。

林野庁森林保護対策室の担当者は海外の発生事例について、空気が乾燥して、地表の温度が高くなっているところがあり、「落雷で発生することが多い」と話す。

一方、国内では木が密に生えており、日射が地面に届きにくく、林床は湿っていることが少なくないという。

「山火事が日本であっても、下草が燃える程度が多い。海外では木が全体に燃える激しい燃え方になり、日本ではあまり起きていない」(桑名教授)。

さらに、山火事の発生や広がり方は「風の影響もある」と林野庁担当者は話す。海外の山火事は風が強いことが多いと指摘する。日本の山林火災でも、風が強いと火が消えにくいという。

国内でも大規模な山火事は発生している。栃木県足利市で2021年2~3月に起きた山火事では、167ヘクタールを焼失し、305世帯610人を対象に退避勧告が出された。「住宅地に近く、避難された。風が強く、鎮火まで時間がかかった」(林野庁担当者)。