相手を動かす明確な設定法

「メール対応の頻度を減らそう」と言われた場合も同様です。

相手に自由な裁量を与えることはいいことですが、人それぞれ解釈は違うものです。

人によっては1日に3回メールチェックしようと考える人もいれば、一方で、1時間に1回のメールチェックをしようと考える人もいるでしょう。

前者の人からすると後者の1時間に1回のチェックは多すぎるように感じるかもしれません。とはいっても、仮に後者の人が今まで常にメール受信がわかるようにポップアップなどの反応をさせていて、即レスしていたのならだいぶ少なくなったといえるでしょう。

この場合、どちらの人もメールの頻度を減らしたことにはなります。しかし、後者の人は、まだまだメール対応の頻度は高いといえるでしょう。

裁量の余地を作ることはいいことですが、相手に動いてほしい場合は明確に設定しましょう。

この場合でいえば、1日3回(朝9時30分まで、昼の13時まで、夕方退勤時間の18時までに3回のチェックにしよう)と伝えればいいわけです。

3分でイライラする人もいる

他にもよく出てくるのが形容詞や副詞です。

たとえば、よくあるのがカスタマーサービスセンターなどで電話が混みあっている場合の「しばらくお待ちください」というアナウンスです。

「しばらくってどのくらい待たせるんだ」とイライラした経験がある人は少なくないかと思います。

確かに「少々」と言っておいて10分以上待たされるとイライラする人もいます。

いや、3分でイライラする人もいるかもしれません。

このように解釈の違いはいくらでも生じるでしょう。

美容師さんに髪の毛のカラーを頼んだ際、「やや明るめで」と頼んだのに、仕上がった髪の色を見て「これでは明るすぎる、会社で何か言われるよ」とクレームを出す人もいるかもしれません。

このように解釈が複数以上ある、曖昧な表現は伝える時は避けるべきです。

【図表】複数の解釈がある曖昧な言葉をやめる

もし正確に動いてほしいなら1通りの解釈しかできないものにしましょう。

「新規開拓を徹底しよう」→「毎日アポメールを5件出そう」

「強い意識を持って進めていこう」→「進捗状況を毎朝確認し合おう」

「仕事の効率化を図ろう」→「打ち合わせは目的を明確にしよう」

「無駄をどんどん削ろう」→「基本、公共交通機関で移動しよう」

「メール対応の時間を減らそう」→「メールチェックは2時間に1回にしよう」

「丁寧に」→「誤字・脱字かないかしっかり確認して」

「説得力のある言葉で」→「お客様への資料には弊社の実績をしっかり明示しよう」

ただ、人材育成のためにわざと曖昧にして自分で考えるように仕向けている場合もあるでしょう。

その場合は正解は問わないことです。

正解を問うなら解釈は1つ、実際に動けるような伝え方にしましょう。