意識的に長所を見るくらいでちょうどいい

もう1点、人は無意識にしていると短所に目が行きがちです。

実際、私が上司向けの研修をしている際、「5分で部下の長所をあげてください」というワークをすると、平均で3個くらいしか挙がってきませんが、「短所をあげてください」と言うと、10個以上あげる人も少なくありません。

ですから、意識的に長所を見るようにしたいものです。実は短所は簡単に長所にシフトできます。

表裏一体だからです。

例をあげていきましょう。

・飽きっぽい→好奇心旺盛
・細かい→よく気がつく
・暗い→落ち着いている
・挑戦できない→慎重な
・思いつきでものを言う→アイデア豊富
・心配性→備えがしっかりしている
・経験がない→柔軟な発想ができる
・はっきりものを言いすぎる→裏表がない
【図表】ネガティブワード
【図表】ポジティブワード

「無駄を削ろう」と言われて、何を削るか

日本語は言葉の性質上、曖昧なものが少なくありません。

特にあなたが上司や先輩の立場で、部下や後輩に何かを伝えようとする際、次のような言葉を使ってしまっているかもしれません。

「新規開拓を徹底しよう」
「強い意識を持って進めていこう」
「仕事の効率化を図ろう」
「無駄をどんどん削ろう」
「メール対応の時間を減らそう」
「丁寧に対応しよう」
「説得力のある言葉で話そう」

これらの言葉を伝えられて実際に行動に移すことができるでしょうか。

あるいは仮に行動に移せたとしても、指示された側の意図と合った行動ができるでしょうか。

おそらく相違が生じるでしょう。

たとえば、「無駄を削ろう」と言われて、何を削りますか。

Aさんは、カラー印刷を止めて白黒印刷に変えようとするかもしれません。

Bさんは、日報などの提出資料をやめよう、会議を減らそうと言うかもしれません。

Aさんは費用を意識し、Bさんは時間を意識しているのかもしれません。

無駄という言葉は非常に抽象的ですが、その下に多くの事象が詰まっています。

仮にコスト削減だって、手段は考えられないほどあるでしょう。

伝えた側の意図と聞いた側の意図が100%合うのは、正確に1通りの解釈で伝えないと、もしかすると宝くじに当たるくらいの厳しい確率かもしれません。