連邦議事堂襲撃事件は序章にすぎない
宗教改革期というのは、200年にわたる殺し合いの時代でした。徹底的な破壊と殺し合いが行われ、血塗られていた時代を経過したうえで、ようやく信仰の自由が保障されるようになった。「第二の宗教改革の時代」であるインターネットの時代も血塗られた時代になっていくかもしれません。連邦議事堂襲撃事件というのは、その序章に過ぎない。
マクルーハンはこうも言っています。テクノロジーが社会を変革し、人間の知性を変えようとしつつある時に、バックミラー、すなわち過去の事例を見ているだけでは不十分だと[『メディア論 人間の拡張の諸相』(みすず書房)]。匿名言論とどう付き合っていくべきかは、前を見ながら運転していかないとわからないのではないでしょうか。
良い方向に行くのか、悪い方向に行くのか。我々がどういう技能を知っているのか、それに対してどういうリアクションを取っていくのか。ネットにおける匿名カルチャーというモンスターと対峙しながら、考え続けていくしかないと思っています。
(構成=小池真幸)