入国の手続きですら「ワンストップ」にはならなかった
「税関」では、デジタル申告よりも、機内で書いた手書きの申告書を渡す方が早く手続きを終えられる、という状態が今でも続いている。
帰国時の「入国審査」は独自のデジタル化が進み、パスポートを読み取り機に置いて顔認証するだけでゲートが開くようになった。便利になったが、結局、検疫(厚労省)、税関(国税庁)、入国審査(法務省)という縦割り対応は変わっていない。ひとつのQRコードで一度に全てが終わるというワンストップには結局ならなかったのだ。さらに最近は、農林水産省が所管する動物検疫や植物検疫も厳しくなった。もちろん空港自体は国土交通省だ。日本の役所の縦割りの縮図である国際空港の姿はデジタル化でも一向に変わっていない。
本来は行政の縦割りを打破し、手続きが効率化するはずだった国のデジタル化。それがいつの間にかカードを普及させないとデジタル化は進まないという不思議な話になっている。そうこうする間に、民間ではプラスチックのカードはどんどん姿を消しつつある。