荒川詔四氏が「提案書」を添削!
×BEFORE
(1)イメージ写真が掲載されていることはよくあるが、これでは受け取り手が内容を想像することができない。
(2)よく見られるのが、現状を緻密に分析したレポートや細かいグラフをたくさん載せた提案書。ポイントさえわかれば十分なので、詳細な説明は不要。
(3)それぞれがどのような役割で必要なのかがわかりづらい。ただ羅列するのではなく、これまでにある研修施設との違いを示す、図で表すなど工夫を。
(4)必要事項が盛り込まれ、一見そつがないようだが、受け手が判断をする際、最も重要な視点である「この提案が通ったことで生まれる効果」が抜けている。
○AFTER
(1)仮称をつけることで本気度が伝わる
荒川社長は、通りづらい提案ほど1人で臨んできたという。それにより、リスクも責任も1人で負うという覚悟が相手に伝わる。自分の意思でやりたいと思っていれば、タイトルも自ずと思いがこもったものになるはず。
(2)提案を受けた人がイメージできる図を
完成予想図は、ただの写真ではなく、ディテールが伝わるものを。受け手が自身で想像力を働かせる手間が省ける。提案の内容を実現させたければ、エネルギーが無駄になると考えず「承認さえもらえれば、あとは実行するだけ」という形にしよう。
(3)社長メッセージを積極的に引用
全社の方針に沿った提案内容であることをアピールする。中期経営計画や新年度のメッセージなど、経営者自身の言葉を使う。提案相手が社長ならば、「自分の言ったことを十分理解したうえで提案してきている」ということが伝わる。
(4)経営に与えるインパクトを明記
この提案が通った場合の効果と影響はどうなのか。一社員の目線ではなく、経営者目線で書く。効果と影響こそ、提案書の根、幹である。
1944年、山形県生まれ。東京外国語大学卒。ヨーロッパ現地法人社長などを経て、2006年社長、2012年より現職。駐在時「多民族をまとめるには基本・原則が重要」と認識し、いまも重視する。