栗山監督の“共感力”でスイッチが入った
後日、本人から聞いた話ですが、やはり村上自身、代打が送られると思っていたそうです。
代走の周東がベンチから出てきたとき、自分への代打だと思ったと。それがそうではなく、代走だったのを見ても、じゃあ自分の代打はどうなるんだろうといった、少し混乱して不安な気持ちだったと、そう言うのです。それで、僕が監督の言葉を伝えたときに、吹っ切れてスイッチが入ったと。
僕は打席に向かうムネに「任せた」と伝えることなど考えもしませんでしたが、栗山監督は、村上がどんな心境でネクストにいるかがわかっていて、どうすれば集中力を高められるかを考えた結果、僕に伝えさせたのだと思います。そこまで選手の気持ちが手に取るようにわかっているのだなと。
それを伝えに行ったのが、なぜ僕だったのかというのも今だから考えます。バッティングコーチの吉村さんが伝えるのもありだと思いますし、監督自身で伝えるのもありだと思います。でも、なぜ僕だったのか、栗山監督のことですから、必ずそこにも理由があるのだろうと思います。
ひとつには同じスワローズの所属だから、コミュニケーションが取りやすいというのは考えられます。
それともうひとつは、はじめに栗山監督が僕の役割として期待していただいた、頼ってもらったり、話を聞いてあげたりといった、選手に寄り添う部分で適任と考えたのかもしれません。