栗山監督の“共感力”でスイッチが入った

後日、本人から聞いた話ですが、やはり村上自身、代打が送られると思っていたそうです。

代走の周東がベンチから出てきたとき、自分への代打だと思ったと。それがそうではなく、代走だったのを見ても、じゃあ自分の代打はどうなるんだろうといった、少し混乱して不安な気持ちだったと、そう言うのです。それで、僕が監督の言葉を伝えたときに、吹っ切れてスイッチが入ったと。

城石憲之『世界のベンチで起きたこと』(ワニブックスPLUS新書)
城石憲之『世界のベンチで起きたこと』(ワニブックスPLUS新書)

僕は打席に向かうムネに「任せた」と伝えることなど考えもしませんでしたが、栗山監督は、村上がどんな心境でネクストにいるかがわかっていて、どうすれば集中力を高められるかを考えた結果、僕に伝えさせたのだと思います。そこまで選手の気持ちが手に取るようにわかっているのだなと。

それを伝えに行ったのが、なぜ僕だったのかというのも今だから考えます。バッティングコーチの吉村さんが伝えるのもありだと思いますし、監督自身で伝えるのもありだと思います。でも、なぜ僕だったのか、栗山監督のことですから、必ずそこにも理由があるのだろうと思います。

ひとつには同じスワローズの所属だから、コミュニケーションが取りやすいというのは考えられます。

それともうひとつは、はじめに栗山監督が僕の役割として期待していただいた、頼ってもらったり、話を聞いてあげたりといった、選手に寄り添う部分で適任と考えたのかもしれません。

【関連記事】
これだけは絶対にやってはいけない…稲盛和夫氏が断言した「成功しない人」に共通するたった1つのこと
球児よりヤバいのは審判・チアガール・吹奏楽・観客…夏の甲子園でバタバタ倒れ「熱中症死」が出る日
熱中症対策は守っていたが…埼玉県サッカー公式戦に出た40代男性の「心筋梗塞で死亡」はなぜ起きたのか
「乳首が落ちても走る」優勝賞金"世界選手権0円、27時間テレビ1000万円"酷暑で100km走らせる鬼のそろばん勘定
日本のゴルフ理論は根本的に間違っている…日本ではNGの「手打ち」が欧米では推奨されているワケ