パソコンの画面を見ながら対応されたら相手はどう思うか

脳内では無数の思考とやるべきことがこちらの注意を引こうと競い合っており、マインドフルネスを意識しなければ、雑然とした思考に消耗して飲み込まれてしまう。ここでの危険性は二つある。

一つ目はわかりやすい危険性だ――頭のなかが雑然としていて注意力が散漫だと、人や出来事や職場に関する重要なニュアンスや詳細を見落とすことがある。同じぐらい有害なのが、周囲の人々への影響だ。

あなたが携帯電話かパソコンの画面を凝視したままで対応したら、相手はどう思うだろうか? 相手はあなたを必要としているのに、当のあなたが作業を一瞬でも中断して振り向こうともしなかったら、相手はどう思うだろうか? 「きみはつまらない存在だ、邪魔しないでくれ」。つまり、きみの話はパソコンか携帯電話に表示されている内容ほど重要じゃないし、興味もない、ということだ。あなたの態度は「わざわざ椅子を回転させて振り返るほど価値のあることではない」というメッセージを発しているのだ。

忙しいときでも、周囲の人たちに注意を向けて対応できるシンプルな戦略がある。最初はそっけないとか事務的だと思うかもしれないが、これらを実践すれば、基本的なルールを確立できるし、自分の殻に閉じこもらずに境界線を守れる。

「中断優先タイム」を設ける

まずは「中断優先タイム」を設けて、短時間だけみんなに対応するようにしよう。うちの組織でこのタイムを設けているが、かなり効果的だ。誰でも、いつでもわたしのオフィスに立ち寄って、邪魔してもいいかと尋ねることができる。わたしに急ぎの用件があってすぐに対応できないときは、一休みできるまで数分待ってもらう。だが、一度対応する準備が整ったら、相手が持ってきたテーマについて全力で集中する。

うちのオフィスでは「中断優先タイム」は一回につき2分以内で終わらせることになっている。その2分間で相手はわたしを独占でき、わたしも相手を独占できる。たとえ短時間でも、全神経を集中させると約束するのだから、はかりしれないほどの価値がある。「忙しいときでも、あなたにとって重要なことはわたしにとっても重要だ」と伝えることができる。

電子メールでも同じテクニックを使っている。同僚に「邪魔してもいいかい?」とメッセージを送ると、相手は2分だけ時間を割けば良いことを承知したうえで、返信をくれる。