他人から「いいね」と言われたとき、あなたはどう思うだろうか。組織心理学者のジョン・アメイチさんは「『いいね』ほど陳腐で侮辱的な言葉はない。何かに対して『いいね』以外の感想が浮かばなかった時、あなたはそれを理解していないということだ」という――。(第1回)

※本稿は、ジョン・アメイチ『巨人の約束 リーダーシップに必要な14の教え』(東洋館出版社)の第2章「成功するために全力を尽くす」を再編集したものです。

肯定的な仲間
写真=iStock.com/yacobchuk
※写真はイメージです

「勝者」は時に冷酷で不愉快に映る

残酷な人とか偽善者だと思われないよう注意しながら、勝利について書くのは難しい。冷酷で不愉快な「勝者」をしばしば見かけるが、それは彼らが勝つためなら冷酷になれるからだ。

わたし自身もスピーチしたときに、「ライバル企業から二度とうちの組織と張り合いたくないと思われるほど、徹底的に打ち負かしたい」と言ったことがある。確かにそう言ったし、本気で言った。とはいえ、競合他社すべてを苦しめてやるぞと言いたかったのではなく、むしろ自分を鼓舞するために言ったのだ――有無を言わせぬ説得力、入念な準備、勤勉な仕事ぶりをもってすれば、少なくともうちの組織は同業他社よりも優位に立てるはずだ、と。

ほとんどの状況では、人生で成功するのに敗者を生み出す必要はない。

勝利に必要な7つの要素

言うまでもなく、あなたは勝つために努力しているに違いない。結局のところ、あなたが読んでいるこの本は個人的な成功、対人関係での成功、組織の成功の実現をテーマとしているからだ。読書は時間がかかる。時間をかけるのは努力しているということだ。理屈から言って、この本を読んでいるということは、すでに勝つために真剣に取り組んでいるということだ。

誤解のないように言うと、本書の文脈に出てくる「勝利」とは、個人の目標を達成することに過ぎない――できれば気高い目標が望ましいが、たとえ気高くなくとも、少なくとも誰かを傷つけないような目標を想定している。わたしにとっての勝利とは、長期的な展望のもとで行うプロジェクトだ。つまり、成功した場合の状況をしっかりと理解したうえで、明確で長期的な個人の目標および組織の目標を達成すべく真剣に取り組むことだ。勝利に関しては、次の7つの項目も明確にしておきたい。

1.「いい人」(または愛想が良い/思慮深い/誠実な/道徳的な/公平な/正直な人)は必ずしも失敗するとは限らない
2.成功するのに冷酷である必要はない
3.成功の定義は人それぞれ
4.成功するには、明確で生き生きとしたビジョンが必要だ
5.成功には妥協が必要だ
6.成功はゼロ・サム・ゲームではない――成功するために誰かを負かす必要はない
7.成功は細部に宿る

本章では、これらの項目について一つずつ検証していこう。