小学校から高校に当たるギムナジウムまで3回落第できる

ただ、ドイツの場合は、年齢では厳密に区切られません。

小学校に6歳で入学する子もいれば、親や先生が「この子はまだまだ遊び足りていない」と判断すれば7歳で小学校に入る子もいます。小学校やその後のギムナジウムなどでは「落第」もあるので、卒業時の生徒の年齢もバラバラです。ギムナジウム卒業のときに、18歳の子もいれば、19歳の子もいて、20歳の子もいれば、21歳の子もいます。

例えば7歳で小学校に入り、その後3回落第して卒業すれば(条件を満たせば合計で3回まで落第できるのです)、一番若い子よりも4歳も年上ということになります。当然18歳と22歳では雰囲気や見た目も少し違いますが、そこに言及するドイツ人には会ったことがありません。

このようにギムナジウムの卒業時の生徒の年齢はバラバラですし、その後すぐに大学に入る人もいれば、大学に入る前に1年間世界を放浪する人がいたり、1年間福祉施設でボランティアをしたりと、「何歳だから高校生、大学生」という考え方とは無縁です。大学を卒業する年齢もバラバラです。

これはドイツでは学科によって在学の年数が違うという理由もありますが、中には個人的な理由から「できるだけ長く学生生活をしたい」と考え、10年以上大学生をやる人もいます。もっともドイツの大学に私学は少なく税金で成り立っているので、昔のドイツにいたEwiger Student(何十年も大学生をやる「永遠の大学生」)をやることについて現在は厳しくなってきています。

図書館で本を見ている若者
写真=iStock.com/alvarez
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「努力は必ず報われる」と信じている社会は日本だけ?

ドイツから日本に来て常々感じているのが、「日本は努力の社会」だということ。日本では努力がとても大事にされていると様々な場面で感じます。

例えば日本のマスコミは、ノーベル賞を受賞した人や、スポーツで成功した人を取り上げるときに、「その裏にある長年の努力」にスポットを当てることが多いです。

子供の勉強に関しても、一生懸命勉強すれば、成績が上がる! 努力すれば受かる! と励まします。「どんな子でも頑張ればできる!」という信念に近いものがあります。

その点、ドイツは前述のように、子供が早い段階で「将来は大学に行くか否か」「将来就くかもしれない職業」を視野に入れながら考えなくてはいけないので、シビアです。場合によっては、わずか10歳で進路の選択を迫られるのです。そして、どの道に進めるかは「小学校4年生の時点での成績」がモノを言うので、これも日本の感覚からしたらかなり酷な気がします。