『徳川家康』は、明治政府にきせられた「狸親爺」イメージを払拭し、家康を評価しなおした。山岡荘八著/初版1953~67年/講談社文庫(全26巻)
『坂の上の雲』は、封建社会から抜け出し、国民国家の建設に燃える青年期の日本の姿を活写した。司馬遼太郎著/初版1969~72年/文春文庫(全8巻)

「厳しさの中にも和気藹々たる会社をつくる」。そして「1杯のコーヒーを通じて、お客様にやすらぎと活力を提供することが喫茶業の使命だ」。

金儲けをしようなどとは毛ほども思わなかった。金もない、信用もないところからスタートした、いつ潰れるかわからない会社である。しかし、2つの理念をもとに突き進み、相当の部分を実現できたと思う。

いま、大事なことは「国民等しく幸せに住める社会」の実現だ。ここ数年来、日本を代表する創業経営者や政治家たちとひざを交えて、国の行く末について議論を重ねてきた。だが、申し訳ないが「これは」という政治指導者を見つけることができない。

今後数年で、日本の財政はギリシャのような破綻状況に陥るかもしれない。国民が塗炭の苦しみを舐めるそのときこそ、本当に国を思うリーダーが出てくるのではないかと思っている。「国民等しく幸せに住める社会」を目指し、そのリーダーを支えていくつもりである。

他方、『坂の上の雲』から学んだことは、経営とは何かという一事に尽きる。

日露戦争の山場である203高地の攻略戦。司令官の乃木希典は、実戦経験の乏しい若手参謀に作戦立案を任せて無謀な突撃を繰り返させ、2万近い戦死者を出してしまった。