会社にとって違法行為を認めることは難しい

・労働組合を立ち上げる
・これまで違法労働した分の清算を求める
・不当解雇という誤った判断を下した責任の所在を明確化
・会社側は過去の株主総会で「定款や法令に違反する行為はありませんでした」と株主に伝えているが、不当解雇が認められた以上、虚偽の事実を株主に伝えていることになるので訂正を求める
(※筆者は裁判期間中に株を購入したため株主である)

既得権益にどっぷり浸かった上層部が何を思ったのか、私にはわからない。和解か判決か決めるのは会社側だが、結果として会社は和解の道を選んだ。

補足すると、厚生労働省のホームページには「精神障害の労災認定」のガイドラインが載っている。これによると、解雇は心理的負荷が非常に強いことが示されており、仮に復職後にメンタルヘルスの問題が発生した場合は労災認定される可能性もある。

オフィスでストレスを感じるビジネスウーマンのシルエット
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裁判を起こす前にまずやるべきこと

ここまで述べてきたことを総合すると、交渉において「被害者カード」の威力は絶大である。被害者であることが認められた時点で基本的に「負け」はないからだ。さらに言えば、会社を訴える前に「自分は被害者である」という事実をしっかり作っておくことを強く勧めたい。

会社との直接交渉もいいが、個人的にオススメなのが労働局の「助言」「あっせん」という制度だ。労働局に紛争の仲介に入ってもらう制度で、無料で利用できるし1~2カ月以内にほとんどの事件が処理される。私も人生で2回、助言の制度を利用した。国が間に入ることで会社側の横暴な態度が改まる可能性もあり、ここに紛争解決の糸口が見いだせる。

よって、不当解雇されたからといっていきなり裁判に踏み切るのではなく、直接交渉や労基署を交えた話し合いで、「私は問題が大きくならないよう努力しました。しかし会社は過ちを認めず、そのせいで裁判にまで問題が悪化しました」といったストーリーを作っておくことが最善策だ。裁判前に解決できればそれに越したことはないし、ダメだったとしても後々の交渉で「被害者カード」を強化することができるからだ。