LINEを業務に使う会社はいろいろと危ない?
1と2に関しては、先ほど紹介したビッグモーターの事例がわかりやすい。ポイントは、このような仕事用LINEにまつわるトラブルを、10年以上も前から専門家が指摘していたということだ。そのため、社員の労務トラブルやハラスメントに敏感な上場企業の中には、業務にLINEを使用するのは禁止していたり、職場でのLINEグループをつくらないように呼びかけたりする会社もあるほどだ。
このように、労務トラブルやパワハラ・いじめの温床になるリスクがかねて指摘されているツールを使っているという段階で、社員の労務管理やメンタルヘルスを軽く見ている証拠だ――。「業務連絡にLINEを使うのはブラック企業説を唱える人々は、そう主張している。
3に関しては、21年3月に発覚した、LINEユーザーの個人情報が業務委託先である中国の関連企業からアクセスできる状態になっていた問題を指している。その後、政府機関が利用をいったん停止した。これを受けて、多くの企業でLINEの使用について慎重になった。
当然だ。会社にとって「社外秘の情報漏洩」や「個人情報流出」は経営にも大ダメージを与える問題だ。そういうリスクのあるツールを使い続けるということは、情報の取り扱いに対する意識が低いということだ。
「ホウレンソウ」への固執がパワハラを生む
あくまで一般論だが、「情報」の取り扱いがゆるい企業は、ガバナンスもゆるい。「カネ」を生み出す話ではないが、企業の社会的責任として絶対にやらなくてはいけないことに手を抜いているということは、他も手を抜く可能性が高い。つまり、社会の一員として守るべきルールを軽視したり、法律を守るという意識まで希薄になってしまうというワケだ。
「なるほど」と深くうなずく人も多いだろうが、個人的には「業務連絡にLINEを使うのはブラック企業」という決めつけは良くないと思っている。
LINEには「LINEWORKS」というビジネスチャットの法人向けサービスもあり、多くの企業が導入をしている。社内のコミュニケーション活性化のためにLINEを用いて、うまくまわっている会社だってちゃんとある。しょせん、LINEはツールに過ぎないので結局、使う側次第なのだ。
では、どういう企業がLINEを使ってしまうと過重労働やパワハラの温床になってしまうのか。過去にパワハラが問題になった企業のコンサルをしたこともある経験で言わせていただくと、「ホウレンソウ」(報告・連絡・相談)に固執する企業がLINEで業務連絡をすると、ひどいことになりがちだ。