※本稿は、鹿島しのぶ『小さな感謝 人生を好転させる一番簡単な方法』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
コンビニや事務連絡で感謝を忘れていないか
国連が発表している世界幸福度ランキング(2022年)によると、日本はなんと54位です。参考までに、上位5カ国は、1位:フィンランド、2位:デンマーク、3位:アイスランド、4位:スイス、5位:オランダの順でした。
これはかなり残念な結果ですが、たしかにいまの日本は、コロナ禍に加え、経済の低迷や少子高齢化問題などを抱えて将来を見通せず、幸せを感じにくい時代を迎えているような気がします。
実際、日本国内では、多くの人が「思いどおりにならない」と閉塞感を訴え、世の中に対するネガティブな嫉妬、恨み、後悔を口にしています。
「親ガチャ」なんていう言葉もあります。自分では選べない親や家庭環境によって人生は決められていて、「とても将来に対する夢なんて持てないよ」というわけです。
なんだか、もうすっかり人生をあきらめてしまったかのような言葉です。幸福度ランキング54位というのは、そんないまの日本の世情を反映しているようにも思えます。
そんな日本では、多くの先進国と同様に、社会がどんどんシステム化され、生活はきわめて便利になっています。いまや、言葉なんて交わさなくても生きていけるほどです。
コンビニに行くと、ひとことも会話をしないまま出ていく人を多く見かけます。また社会生活で必要ないろいろな連絡事項だって、おおかたはメールで済んでしまいます。それこそ、会話の必要がどんどんなくなっているのです。これでは、感謝の言葉を口にするシーンが減るのも必然です。
でも私は、こんな時代だからこそ、感謝が必要だと思うのです。だって、思いどおりにいかないことを並べ立て、「それは社会のせいだ」とか、「しょせん自分なんて」とあきらめていても、何ひとつ変えられるわけがないのですから。
そんな状況を打ち破るためにも、ポジティブ心理学の代表的研究者であるカリフォルニア大学のロバート・エモンズ教授がいうような「感謝の力」によって、自分を再構築する努力をはじめるべきでしょう。
最初にすべきことは、「自分のこれまでの人生を振り返ってみる」ことです。それは別に難しいことではないでしょう。そして思い出すのです。
お父さん、お母さんがいたからいまの自分がいるんだ。
小学校のとき、あの先生にはお世話になったわ。
そういえば、あのときは友だちに助けられた。と。