※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山さんの元に寄せられた相談内容を基に、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。
村高さん(仮名/51歳)のケース
本人 専業主婦
夫 会社員(年収800万円)
子供 高校生(私立)
住まい マンション(住宅ローン月15万円 ※修繕積立金などを含む)
「裕福なご家庭が多い学校」に入学
思春期は特に「見た目」が気になる時期です。ファッション、メイク、交友関係など、すべてにおいて「人からどう見えるか」というアンテナがビンビンに働き、私もいろんな失敗がありました。今回は、そんな高校生の娘さんを持つ親までもが見栄を気にするあまり、貯金ができない“見栄っ張り貧乏沼”に陥ったケースをご紹介します。
村高さん一家の一人娘・優愛さん(仮名)が都内の私立中堅女子校に合格したのは1年前のこと。彼女の第一志望だったその女子校は歴史ある学校かつ、派手な子が多い校風で知られています。私が高校生だった時代にもたしかにそこの学生はおしゃれな子が多い印象があったので優愛さんの母・貴子さん(仮名/51歳)に聞いてみると、「自営業で、裕福なご家庭が多いんですよ」とのことでした。特に開業医の親御さんが多く、皆さん現金が常に一定ある金回りのいい環境ということもあり、セレブな雰囲気の方が多いのだそうです。
そんな環境に入学した優愛さん自身の家庭は、ごくごく普通の会社員一家。インターネット関連会社に勤める父・康之さん(仮名/49歳)の年収は800万円で、お母さんは専業主婦でした。親の職業の違いはあれ、社交的でおしゃれな優愛さんはすぐ学校に馴染み、友だちにも恵まれます。
クルーザーでお誕生日会、旅行は軽井沢集合
楽しそうに学校に行く彼女を見て一安心していたある日、康之さんは、優愛さんのお友だちの誕生日会に違和感を覚えたといいます。なぜかといえば、会場が「クルーザー」だったから。高校生の誕生日会を船上で開くなど、田舎の零細農家に生まれた康之さんには信じられない話だったそうですが、娘にも付き合いがあろうと、特にとがめることはなかったそうです。
しかしその後、船上パーティーで渡すプレゼントやドレス代に3万円も使っていたことを知った康之さんが貴子さんを問い詰めると、「娘に不憫な思いをさせたくなくて」との返事。その思いは同じなので、グッと飲み込んで静観を決めたものの……その後も毎月のようになにかしらパーティーが催され、その度に手土産代が発生。夏になれば軽井沢集合でクラスメイトと旅行へ。優愛さん自身の洋服もファストファッションブランドでは飽き足らず、やたらと高いブランド品を要求するようになっていました。
康之さんは貯金に手を出すようになってから不安を覚え、貴子さんに娘の交友費やファッションへの浪費を抑えるようにお願いしましたが、いつも最後には「優愛が仲間はずれにされたらどうするの!」と怒られ、取り付く島がないといいます。この時点で200万円以上あった貯金は150万円まで減ってしまっていました。康之さんが私のもとに来てくれたのが、この時でした。