職場の人間関係を円滑に保つにはどうすればいいか。福厳寺住職でYouTuberの大愚元勝さんは「ブッダは、他人にイライラしてしまう原因は自分にあると説いた。仏教の修行には悟りを開くための3つの必須科目があり、現代の会社組織にも役立つだろう」という――。
職場の「いじめ」「嫌がらせ」相談は年8万件
「人」という字は、親しき人同士が寄り添っている姿をかたどった象形文字です。
「人間」という言葉は、人が人の間でしか生きられない存在であることを端的にあらわしています。
これらの文字や言葉が示す通り、私たち人間は一人では生きられません。家庭でも職場でも、皆が互いに思いやり、支え合って生きていくことが理想です。
けれども現実は、なかなか理想通りにはいきません。
2020年6月1日、改正労働施策総合推進法が施行されました。通称パワハラ防止法と呼ばれるこの法律は、職場におけるパワーハラスメントの防止措置を義務付けたものです。
その背景には、厚生労働省に寄せられる、いじめや嫌がらせの相談件数が年々増加の一途をたどっていたことがあるようです。
厚生労働省の総合労働相談コーナーに寄せられる件数は年間130万件。そのうち「いじめ」や「嫌がらせ」の相談件数は、8万件にものぼると言います。
部下から上司に対する「逆パワハラ」もある
職場は、寝ている時間を除けば、自宅よりも長い時間を過ごす場所です。
その職場にいる時間が、いじめや嫌がらせに怯える時間だとしたら、たまったものではありません。
特にまだ仕事に慣れない新入社員が、入社してすぐにパワハラ上司の下で働かなければならなくなったとしたら、働くこと事態がトラウマになってしまうことでしょう。
しかしながら、「パワハラ」は上司から部下に対して行われる嫌がらせとは限りません。中には「逆パワハラ」と呼ばれる、部下から上司に対してのパワハラもあるのです。