3つ目は、今回、成田に就航した世界最新鋭の航空機、エアバスA380に代表される「世界最高級のサービス」です。特に弊社のファーストクラスは、最高級ホテルに宿泊していただくようなコンセプトで設計しているため、顧客にとって本当に心地の良い空間になっています。ファーストクラスにシャワールームが2つあるのも特徴です。

そんなドバイにも、かつて厳しい局面があったのは事実です。08年9月に起こったリーマン・ショックで、大きな影響を受け、我々エミレーツのビジネス顧客も減少しました。

しかしながら、金融危機の影響を受けたものの、ドバイは成長し続けていくでしょう。商業、観光、金融などの中東における中核都市として確固たる地位を築いたうえに、世界中から新たな富が流れ込んでいるからです。

UAEには石油を産出し、その富で国をつくっているアブダビがありますが、それと比べてドバイで採掘される石油はごくわずかです。

しかし、ポスト石油の時代はいずれ来る。だから商業、観光、金融などで稼ぎだすドバイのビジネスモデルは、他の国や地域にとってのロールモデルになりうるはずです。

今、航空業界には大きなトレンドの変化が起こっています。我々エミレーツが提供する“豪華なサービス”とは別に、LCC(格安航空会社)がすごい勢いで伸びています。

今後12年から15年の間、特にアジア地域の航空需要は、現在の倍以上の規模に成長するといわれています。我々が提供する高級なサービスと、LCCの安さを売りにしたビジネスモデルの両方が、旺盛な航空需要を背景にして、伸びていく。そしてLCCは短距離路線、エミレーツは長距離路線と、補完し合える関係で成長できるはずです。

今後、エミレーツは、ますますグローバルな活動を展開し、人と人とを結びつける役割の担っていきます。

※すべて雑誌掲載当時

(児玉博=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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