「メタバースの土地」に価値はあるか
NFTメタバースに熱い視線を注ぎ、早くも投資をしている企業もありますが、結論からいえば、長続きするかは疑問です。
なぜなら、まず、MetaやフォートナイトなどVRやゲームに巨額の資金を投じている既存のプレイヤーと競合するから。そして何より「メタバースの土地」に価値をつけるという発想が、まだそれほど有効ではないと考えられるからです。
そもそも土地の価値とは何でしょう? なぜ同じ面積でも、値段が高い土地と低い土地に分かれるのでしょうか?
それはリアルな土地は有限であり、さらに土地の価値は「土地そのもの」ではなく、「土地に付随する条件」で決まるからです。たとえば、寂しかった駅前にショッピングモールが建つと、周囲の宅地の価格が上がる。高級ブランドが集まる土地は、ビルのテナント料が高い。東京の表参道や銀座がいい例です。つまり魅力のある土地には人が集まり、そして人が多く行き交う土地ほど価値が高くなるのです。
評価額は高いがアクティブユーザーが少ない
では、メタバースの土地はどうでしょう。インターネット空間は無限です。その無限の空間を切り取ったものに、はたして価値はあるのか。その点で慎重になる人が多いのか、実際、NFTメタバースは、企業の大型投資により評価額は高い割に、アクティブユーザーが非常に少ないのです。
リアルな土地でいえば、人気スポットも、かっこいい建築物も何もなく閑散とした街に、ただ空の宅地だけがあるようなもの。となると、ますます価値に疑問符がついてしまいます。ただでさえ無限なインターネット上の「単なるスペース」に価値がある、というのはロジックとして成立しづらいといえるのです。
もちろん、今後、それこそ銀座や表参道のように、有名人が多く集まるとか、かっこいいデジタル建築物がたくさんあるとか、高級ブランドショップ的な人気アプリが搭載されているとか、そういった魅力的なメタバースが誕生したら、そのメタバースに住みたい、土地を買いたいという人が増えて、「地価」が上がる可能性はあります。