メタバースでの「土地売買」がはじまっている。今後どれだけ広がっていくのか。Web3リサーチャーのコムギさんは「現状はアクティブユーザーが少ないため、土地の価値は高くない。ただし、将来、より多くの人たちが、より多くの時間をメタバースで過ごすようになれば、値上がりする可能性もある」という――。

※本稿は、『デジタルテクノロジー図鑑 「次の世界」をつくる』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

メタバースとweb3が重なり合う3つの点

「メタバース」はweb3の文脈でも語られることが非常に多いのですが、メタバース=web3ではありません。

web3はブロックチェーン技術を前提としている一方、「メタバース」は「仮想空間」および「仮想空間で構築されたプロジェクト」とまったく異なる概念を指す言葉です。

皆さんもご存じの通り、ゴーグルをつけて仮想空間で会話するアプリや対戦するゲームなど、web3以前からたくさんのバーチャルリアリティ(VR)プロジェクトが存在します。

とはいえ、GameFiプロジェクトやNFTプロジェクトなどweb3のプロジェクトには、「メタバースをつくる」と宣言しているものが少なくありません。すでにプロダクトとしてリリースされているプロジェクトもあり、今後も「web3×メタバース」を実装するプロジェクトが増えていくことは確かでしょう。メタバース=web3とはいえないまでも、両者は重なる部分が多く、親和性はかなり高いといえるのです。

メタバースとweb3が重なり合っているのは、主に次の3点です。

①NFTとの相性
②DAOやトークノミクスとの相性
③アイデンティティとの相性

言葉の意味も含めて、1つずつ説明していきます。

親和性①NFTとの相性

メタバースは仮想空間、リアルではないデジタルの世界ですから、そこでの「所有」は必然的にデジタルなものになります。しかし今までは、メタバース上のデジタルアイテムに資産価値をつけることは基本的にできませんでした。

たとえば、メタバースゲーム内で獲得したデジタルアイテムは、あくまでも、そのゲームの中だけで通用する「疑似的な所有物」であり、経済的な価値はありません。もちろん市場で売買することはできませんし、仮にそのゲームが「サービス終了」になったら、一緒に消えてしまうものです。

一方、NFTは、デジタルアートなど「代替不可能な価値」をトークン化したもので、市場で売買できる「デジタルな資産」です。したがって、NFTならばメタバースで「経済的な価値」を持つことができる。決して比喩的な意味ではなく、「デジタルな空間で、デジタルな資産を持てるようになる」ということです。