第2、第3のアステラス事件の懸念もあるが…
そもそも少子高齢化の人口減少に突入しても、中国市場は日本よりはるかに巨大だ。また、国際通貨基金(IMF)が公表している2022年の国民1人当たり購買力平価GDPで見れば、日本の4万9044ドルに比べ、中国は2万1392ドルとまだ半分以下であり、今後の経済成長によって医薬品購買層の拡大が期待できる。
つまり、今の中国の医薬品市場はカントリーリスクを考慮しても魅力的な市場であり、今回のアステラス製薬事件の影響で二の足を踏む日本の製薬企業はほぼ皆無だろう。
一方、中国当局は、7月1日からスパイ行為としての摘発範囲を拡大した改正反スパイ法を施行した。その意味で同法違反で拘束される懸念はむしろ高まっている。日本の製薬企業は、中国リスクを本当に無視しつづけられるのか。今後の展開に注目すべきだろう。