80歳以降に一括受給するメリットはない

この制度の対象になるのは、以下のいずれかに該当する人です。

・2023年3月31日時点で71歳未満
・老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給権を取得した日が2017年4月1日以降

ただし、80歳以降に請求する場合は「5年前みなし繰下げ制度」の対象にはなりません(※1)。つまり、「5年前みなし繰下げ制度」は70歳以上80歳未満の人に適用される制度だということです。

もし、80歳以降に繰下げしないことを選択した場合、65歳に遡った本来の年金額で過去5年分が一括で支払われ、その後は本来の年金額が支給されることになります。繰下げによる増額がないだけでなく、5年以上前の年金は時効で受け取れないという結果になってしまうのです(図表3)。

【図表3】80歳以降で繰下げ受給を選択せずに受給開始した場合

(※1)請求の5年前以前から障害年金や遺族年金の受給権がある場合も対象外

80歳以降まで我慢しても、増額は75歳まで

一方、80歳以降に繰下げ受給の申し出をすると、繰下げ可能期間は75歳までですから、75歳以降の待機期間は増額対象とならず、75歳時点で計算をした繰下げ年金額の過去5年分が一括で受け取れ、その後は増額されたその年金額を受け取り続けることになります。そして、5年以上前の年金は時効となり受け取ることができません。

たとえば、83歳時点で繰下げの請求をした場合、65歳から75歳までの10年間待機したものとして、受け取れる年金額は本来の年金に84%増額したものとなります。ただし、75歳からの3年分は時効で受け取れませんから、一括で受け取れるのは78歳から83歳までの5年分です(図表4)。

【図表4】80歳以降で繰下げ請求をして受給開始した場合