サウナと入浴では健康効果はどう変わる?

サウナと入浴では、健康効果に違いはあるのでしょうか?

私自身、5年前にサウナにハマるまでは健康を意識して入浴する習慣を続けていました。それは『医者が教える 小林式お風呂健康法』(ダイヤモンド社)という本まで書き上げるほどで、自律神経を整える入浴法を日々研究していました。

もちろん、自律神経を整えるために、入浴は有効な手段のひとつです。

しかし、入浴の場合は、体が温まったあとに水風呂や水シャワーを浴びる習慣があまりなく、自律神経に適度な刺激を与える「温度差」が生まれにくいという欠点があります。

つまり、入浴する習慣だけでは「血管の筋トレ」にはならないというわけです。

また、サウナは全身がまんべんなく、均一に温まりやすいのですが、入浴の場合は湯につかっている部分だけが先に温まり、湯につかっていない部分はなかなか温まりません。

湯につかっていない部分が温まるまで長時間入浴すると、のぼせてしまう危険もあり、かといって高温の湯で入浴すると湯に入った瞬間に体が危険を感じて、急激に交感神経が強く働くため、体はストレスを受けてしまいます。

さらに温泉の場合は、その成分により湯あたりする可能性も否定できません。

この点においても、短時間で全身がまんべんなくジワジワと温まるサウナは、入浴よりも優れているといえそうです。

「血管の筋トレ」を目的とするならば、入浴よりもサウナ習慣のほうがおすすめです。

サウナに入るのは朝・夕のタイミングがベスト

自律神経には「日内変動」と呼ばれるリズムがあり、朝と夕方の1日2回、交感神経と副交感神経のバランスが大きく切り替わります。

朝は副交感神経から交感神経へと優位が切り替わることで活動しやすくなり、夕方は交感神経から副交感神経へと優位が切り替わることで、夜ぐっすり眠る準備をします。

自律神経の日内変動のリズムは、「サーカディアン・リズム」と呼ばれる太陽の周期に同調する生命活動のリズムと連動しています。サーカディアン・リズムは、人間だけでなく、地球上の生物に共通して働く、1日24時間の体内時計のようなものです。

つまり、人間の体には日の出とともに起きて昼間に活動し、日没して暗くなったら眠るというリズムが刻み込まれているわけです。

小林弘幸『医者が教える 心と体が本当にととのう サウナ習慣』(Gakken)
小林弘幸『医者が教える 心と体が本当にととのう サウナ習慣』(Gakken)

朝と夕方の1日2回、自律神経の優位が切り替わるタイミングは、自律神経のバランスが崩れやすいだけでなく、血液の流れも滞りやすくなります。また、朝は筋肉が硬直しやすく、夕方は足のむくみが発生しやすくもなります。

この時間帯にサウナに入ると、自律神経に適度な刺激を与えることができ、滞りがちな血液の流れもよくすることができるため、最も理にかなったタイミングといえます。

また、夕方にサウナに入ることで、交感神経から副交感神経への切り替えがスムーズになり、眠りの質が向上する効果も期待できます。

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