徳目を身に付けたから79歳まで幸福でいられた
私はいま、数え年で79歳になる。この歳まで幸福でいられたのは、神の御恵みがあっただけでなく、こうしたささやかな工夫を重ねてきたからだ。私の子孫たちには、ぜひそのことを覚えておいてほしい。
この先の人生で、私がどんな不幸に見舞われるかは神にしかわからない。だが、たとえ何が起きたとしても、過去に味わった幸福を思い出せば、目の前の不幸を受け入れ、じっと耐えることができるだろう。私が長いあいだ健康を保ち、いまなお元気に過ごせているのは「節制」を守ったからだ。
若くして安定した生活を送り、財を成し、さまざまな知識を身につけて周囲の尊敬を集め、知識人のあいだでそれなりに名を知られる人間になれたのは「勤勉」と「倹約」のおかげだし、国民の信頼を得て名誉ある仕事を任されたのは「誠実」と「正義」のおかげだ。
また、私はいつも落ち着きを失わず、親しみやすい態度を崩さなかったので、いまでも多くの人(とくに若者)から好意を寄せられる。これはひとえに、不完全ながらも13の徳を身につけたからだ。だから、私の子孫たちにも同じことをしてほしいと思う。そうすれば、私と同じ幸福を手に入れられるはずだ。