元妻への恨みつらみトークが会話のほとんど
「俺が世界の中心」な人々に疲れていたので、菩薩さんの懐に飛び込んで話を聞いてみたくなった。
こんな人ならきっと破局を何もかも別れた元妻のせいにしたり、家事も子育ても向いてないから丸投げしたいなんて言わない……はずだ。ところがいざマッチングしてLINEでビデオトークしてみると。「別れた妻の悪口は言いたくはないが」と言いながら出るわ出るわ……。菩薩さんが妻と別れた理由は10年前、年に何回も長期出張が続き、会話がほとんどなくなって関係が冷えてしまったことだという。
「妻は結婚当初、専業主婦になりたいと仕事を辞めたのに、子供が中学になると今度は家事だけの人生は嫌だと言い出して」
そのうち家庭内別居状態となり、早期退職と同時に離婚届を突きつけられたというシリアスな熟年離婚だ。しかも離婚後半年も経たずに妻は年下と再婚。今では娘とも年一度しか会わせてもらえない。菩薩さんは「家裁の調停で財産の半分は元妻の手に渡り、持ち家も持っていかれたので、狭いマンションに引っ越さなければならなかった。新しい会社に再就職するまで、本当に大変だった」と恨めしそう。
しかも元妻が離婚前から不倫をしていて、早期退職金の分与を計画していたと恨みつらみが止まらない。結局、2時間のトークの3分の2がその話でぐったり疲れてしまった。癒されるどころじゃない。これでは菩薩サマどころか恨みがたまった怨霊だ。
プロフィールにあったら注意すべき「8つの表現」
なのになぜ、菩薩なんていう誤解を与えるニックネームにしたのか?
「再就職した会社で人材育成トレーニングを担当していて、そこで相手の話をすべて受け止めるのがどんなに大切かという訓練をしているんですよ。このメソッドを教えている時は、本当に菩薩様になれるんですよね」
あまりのギャップにのけぞりそうになった。それはあくまで職能であって、本当の資質ではない。つまり中身は離婚前の彼と少しも変わっていないのだ。企業のトレーナーとしてどんなに人徳があっても、家ではどろどろの怨念から抜けられない怨霊なんて絶対、ごめん被りたい。マッチングアプリのプロフィールは、好印象を与えるために弱点を都合よく粉飾されがちだ。
例えばこんなプロフィールは、裏のマイナスポイントを隠しているかもしれないので要注意。
「決断力がある」→俺サマで協調性がない。相手の意見が聞けない
「経営者」→月商10万に充たないネット通販ショップなどの経営
「年より10歳は若いと言われる」→リップサービスを真に受けている
「すぐに仲良くなる」→付き合っていなくてもすぐやろうと誘う
「家事はできれば一緒にしたい」→と言ってもあくまで口だけ
「デート代は自分が多めに払う」→最初だけは
「実家暮らし」→生まれてから実家を出たことがない。母親が上げ膳据え膳
ざっとこんな感じだ。嘘とまでは言えないが、現実とはかなりの落差がある。