新しいことには挑戦したくないという意識がみこんでいる

本省からは、その考えは大間違いだ、と言われはしましたが、この大使館にかぎらず他国の大使館でも似たような哲学で仕事をしている外交官は少なくないと思われます。

前例踏襲型でいれば、失敗しても大きくは叱責されません。

前例踏襲型でいれば、失敗しても大きくは叱責されない(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/takasuu
前例踏襲型でいれば、失敗しても大きくは叱責されない(※写真はイメージです)

逆に新しいことを発案して実行し、成果が得られなければ叱責を受け人事評価は大きく減点されます。

本省の人事評価システムがそうなっているのでしょうか。新しいことには挑戦したくないという意識が大使館に沁みこんでいる気がしました。

時間と紙のムダ

毎週月曜日、大使と本官で館内会議を開きます。

議題は大使の日程確認でした。

大使の1週間の日程表が作成されてその印刷物が会議で配布され、それを全員で確認するという作業です。それだけです。他にトピックスの発表などありません。

なんのための会議だ、と聞くと、大使の日程に合わせて本官の業務日程を調整する、という返答です。

大使の日程なぞ、PCのスケジューラーに入れてあり各人が必要なときに確認し、自分の日程を調整すればいい。

私との調整が必要なら、その都度私に相談すればいいのです。

私の日程表を毎週作成し、印刷して配布するのは時間と紙のムダです。情報共有の手段が少なかった数十年前ならともかく、わざわざ本官全員が貴重な時間を使って集まって議題が日程確認だけとは、こんなに不思議な会議はありません。