34歳の英紙記者はゲームに熱中し、飛行機に乗り遅れそうになった
そんな青沼氏のアプローチが、海外のプレイヤーやゲーム批評家たちの心に響いたようだ。海外紙の記者からは、非常に前向きなコメントが多く発表されている。米ワシントン・ポスト紙は、多様な解法が存在する柔軟な謎解きに興奮し、「クリエイティブな天才になった気分にさせてくれる」「完璧に仕上がっている」と称える。
ニューヨーク・タイムズ紙は、アイテムの組み合わせで無限とも思えるほどの新たな効果と活用法が生まれるシステムを評価し、「創意工夫が報われるシステムになっている」と感心した様子だ。
ハイラル王国の随所に頭をひねる機会がちりばめられたことで、大人でも熱中できるタイトルとなったようだ。英ガーディアン紙の34歳記者は空港での空き時間にプレイしていたところ、想像以上に熱中。あわや搭乗の締め切り時刻に遅れそうになるほどのめり込んだという。
米評論メディアのスクリーン・ラントは、「その野心的なシステムが記憶に残るこのゲームでは、どんなプレイヤーであっても別の人と同じ体験をすることはない。まだ知れぬ可能性が呼び起こす、喜びと興奮を除いては」と語る。
さらに同記事は、「ティアーズ オブ ザ キングダムは記念すべき偉業であり、今後何年にもわたり繰り返し語り継がれることだろう」とも述べている。王国の伝承と古代文明の謎を扱う本作だが、作品自体がゲーム史に残る「伝説」のひとつになる可能性もありそうだ。
画面越しなのに思わず足がすくむ映像
本作のもうひとつの魅力は、段違いに広くなったフィールドだ。前作で主人公・リンクは、広大なハイラルの大地を徒歩や馬で駆け巡った。今作ではこれに加え、空に浮かぶ島々や暗く淀んだ広大な地底世界が展開。冒険の舞台は高さ方向へと広がる。
そもそも縦方向へフィールドを広げるに至った動機は、前作との差別化だったようだ。任天堂で本作のディレクターを務める藤林秀麿氏は、米テックメディアのワイヤード誌の取材に応じ、水平方向への冒険が主体だった前作から思い切った変化を付けたかったと語っている。
冒頭でリンクが目覚める「始まりの空島」では、遙か高所から大地を見下ろす空中遺跡の数々にしがみつき、ときに飛び移りながら探索を続ける。ゲームの世界とは分かっていながらも、Switchの小さな画面越しに思わず足がすくむような体験がプレイヤーを待っている。
無限とすら錯覚しそうなマップの広さに、ガーディアン紙の記者は胸を膨らませたようだ。「このゲームは一生終わらないような気がする。攻略したと思うたびに、新たな広がりが見えてくる」と語っている。