本流からはずれた、小さな部門は上司の数も少なく、自由に動け、力も発揮しやすいはずです。確かに、成果を挙げる環境としては厳しいかもしれませんが、そこで実績を示すことができれば、会社に対する強いアピールとなり、出世競争での遅れを挽回するチャンスになることだってあります。

ただ、ここで必要なのは、そうした働きぶりを見ていてくれ、自分を引き上げてくれる親分的な上司の存在です。普段から男気溢れる上司にかわいがられるように心がけます。折に触れて仕事やプライベートの相談を持ちかけ、「こいつを昇進させてやろう」と思ってもらえるようにするのです。

とはいえ昨今、そうした上司はめったにいません。そのときは、他部門の実力派の上司に認めてもらうぐらいのしぶとさも重要です。例えば、公募される社内の委員会やプロジェクトのメンバーとなって頭角を現し、存在感を示していきます。あるいは“便利屋”に徹して、「かわいいやつ」と思わせるくらいの割り切りも必要です。

周回遅れを機に出世競争から降りるという選択肢もあります。もともと順調に昇進していくエリートは、「同期入社の10%未満」といわれています。自分がそこに入っていないとわかったら、無理をせず、そこそこの実績を挙げて、それに応じた昇進で我慢しながらサラリーマン生活を全うするのです。

ただ、こういう人たちはリストラの対象になりやすい。いま、不況や組織の統廃合の影響で、どこの会社も過剰雇用を抱えています。会社がリストラに踏み切れば、そこそこの実績しか挙げていない30代も、今後はリストラ候補になるでしょう。

ですから、リストラをされないように予防線を張るか、リストラされても大丈夫なように準備をしておきます。ここでも2つの道があります。会社に留まってリストラを避けるという選択と、転職あるいは独立を目指す方法です。

会社に留まる場合なら「リストラされなければ勝ち」と考えましょう。つまり、下手なリスクを冒さず、定年まで平穏無事に勤め上げられれば勝ちです。実際、最近のような経済・雇用環境で、一つの同じ会社で定年を迎えられれば申し分ありません。

乾坤一擲、独立・起業するのなら、社会的な力をつけることが最優先です。スキルを磨き、公的資格を取得するのはもちろんのこと、ボランティアにも意欲的にかかわり、社会に対する見識と人脈を広げるのもいいでしょう。

幸い30代は、頑張れば実力も一番伸びるときですし、踏ん張りもききます。成功する独立のためには、自分がやりたいこと、できることを徹底的に考えることです。そして、成功の基準を決める。あとはタイミングを間違わず、諦めないことです。

(岡村繁雄=構成 南雲一男、澁谷高晴、大塚一仁=撮影)
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