「日本の一般人並み」の暮らしはとても贅沢なこと

彼らは自分の楽しみとして野菜を収穫することもあるが、ほとんどの作業は信頼できる農家に頼み、そこから直接、自宅に新鮮な食材を届けてもらっている。そうすれば、土壌づくりも含めて確認することができ、安全な食材を確実に入手できるからで、私の友人は、いつも富裕層の友人から特別栽培の食材をおすそわけしてもらっていてラッキーだ、と話していた。

だが、もちろん、そんなことができるのは一握りの富裕層だけであり、そこには多くの費用がかかる。野菜1本、果物1つの値段に換算したら、かなり高コストになるが、それでも、中国国内に住む以上、「安全をお金で買う」ことはやむを得ないと彼らは考えている。不動産もそうだが、「日本の一般人並み」の暮らしをしようと思ったら、すべてが「高コスト」なのだ。

しかし、日本に引っ越してくれば、もちろん、そうしたコストは一切かからない。彼らは日本の食を信用しているし、現に日本の食品は厳しい基準を経て市場に出回っており、安全性が高いからだ。

欧米で暮らすのは「常に緊張感があり、リラックスできない」

こうした理由で、一度日本に住んだあと、中国に帰国して、改めて「やはり日本がいい」「日本の生活はよかった」と痛感したり、再認識したりするのだ。また、それは日中間の移住だけでなく、第三国で生活、比較することにより、よりいっそう、深く実感することでもあるという。

以前、東京都内の大手企業に勤務する知り合いの中国人が、転勤でアメリカ・ニューヨークに3年間住んだことがあった。帰国して東京に戻ったあと、久しぶりに会ったところ、「ニューヨークに住んでみて、世界で日本がいちばん住みやすい国だと強く実感した」と語っていた。

街並みの背景に対する若いカップル
写真=iStock.com/portishead1
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その知り合いは、駐在員だったので、生活環境は保証され、高級マンションで生活しているものと思っていたが、「治安の悪さは日本と比べるまでもなく、食べ物も高くてジャンキーなものが多い。外食では甘味料を使ったものも多く、健康的とはいえない。それに欧米人に挟まれて生活するのは、常に緊張感があり、リラックスできない」と話していた。

また、ニューヨークに住む以前、出張でヨーロッパに行く機会も何度もあり、旅行で東南アジアにも行ったことがあるが、それらの国々と比較してこうも話す。