隣接する東京農工大「どうすることもできなかった」
今回、建設される予定の教会のすぐ横には、東京農工大学があります。大学側は教会建設に対してどのような対応をとっているのでしょうか。霊連世協会から「事前に建築に関する説明はあったのか」と確認すると、次のような回答がありました。
「(同協会から)工事のスケジュールについて説明がありました。(中略)ネットで調べて旧統一教会の流れをくむ、関連団体ではないかという認識はありました」
つまり、同協会からは、当初、大学側に自分たちの組織が霊感商法などの社会問題を引き起こした旧統一教会の教えをもとにした団体であることを告げていなかったということです。
大学関係者からも、府中市がすでに土地購入および、建築確認の許可を出していたため、「(旧統一教会系団体と知っても大学としては)どうすることもできなかったようだ」という声も聞こえています。では今後、教会が建設された際の対応はどうするのでしょうか。
「当該協会に限らず、本学敷地内での勧誘・布教活動については禁止をしており、キャンパス入口にその旨を記載した看板を設置しています。また、学生に対しては大学HPや学内Web掲示板において、カルト団体などによる勧誘に注意するよう、注意喚起を行っています」
どのような注意喚起か。例えば、キャンパス入口の「警告」の看板には「本学敷地内において、学外団体・学外者が勧誘・署名・物品販売等を行うことを禁止します。学生の皆さんは、サークル等を装った反社会的団体による勧誘活動に十分にご注意ください」とあります。
HPではさらにつっこんだ形での注意を行っています。
「大学生である皆さんは、キャンパス内や街なかで、ボランティアやサークル活動・研究会又はパーティなどの勧誘を受けることが多々あるかと思います。こういった勧誘の中には暴力的、反社会的、又はいわゆる『カルト』的団体によるものが多々あり、全国で学生が精神的・金銭的・身体的な被害を受ける事例が多々発生しています」
そして、声をかけられても「個人情報は絶対に教えない」「結構です」「関心がありません」などはっきりと断るように促しています。
また、勧誘手法として、「ゴミ拾いなどのボランティア活動」「SDGsなどのテーマによる勉強会や研究会ゴスペルや合唱などのコンサート」「生き方を考えるなどの自己啓発セミナー」といった偽りのテーマを具体的に挙げて、注意喚起をしていました。
ただし門の前に出されている看板に関していえば、駅頭や学外での勧誘も十分にありえますので、学生らを守るためにも、もう少し大きな表示にするのがベストであると考えます。
同大学は今回の筆者の取材に対しても、「学業・研究等に悪影響を及ぼす可能性があるなどの懸念があったことから、当該協会がカルト団体に該当するか否かは不明ですが、協会に対しては、本学敷地内での勧誘・布教活動や悪影響を及ぼす行為など等について行わないよう申し入れを行い」「学生に対して、今後、被害を受けた際には速やかに大学の窓口に相談するとともに、ためらわずに警察に相談するよう、注意喚起をしています」と警戒心を抱いているようです。
なお、カルト思想を持つような宗教団体の勧誘から被害を受けた場合、警察に直接に電話をかけたとしても、門前払いされる可能性があります。その時には、消費者ホットライン(188)や、法テラスに設置された、霊感商法等対応ダイヤル(0120-005931)への相談も必要ということも付け加えておきたいと思います。