「何が起きても、なんとかなる」が強い

内田樹/ウスビ・サコ著『君たちのための自由論 ゲリラ的な学びのすすめ』(中公新書ラクレ)
内田樹/ウスビ・サコ著『君たちのための自由論 ゲリラ的な学びのすすめ』(中公新書ラクレ)

未来はどんどん分岐していきます。ですから生物としては、多くの分岐を萌芽ほうが的に含んでいるような位置に立っている時に気持ちが落ち着くはずなんです。「これしかない。これ以外のことが起きたらおしまい」というのが一番弱い。「何が起きても、なんとかなる」というのが強い。未来の選択肢が減れば減るほど、生物は恐怖を覚えるはずなんです。逆に「これだけ選択肢がある」と思えれば、この先何があるかわからないけれど、それほど怖がる必要はない。

それは生き物として皮膚感覚で直感できるものだと思うんですよ。狭いところに閉じ込められていると、息苦しくなってきますが、広々した風通しのよいところにいれば、ほっと息がつける。何でもできそうな気がするから。そのわずかな気持ちの変化を感知できる力があれば、これからの見通しのきかない時代も、なんとか生きていけるのではないでしょうか。

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