むし歯を防ぐには、どうすればいいのか。東京医科歯科大学の品田佳世子教授は「日本ではフッ素にマイナスイメージを持つ人が多いが、フッ素入りの歯磨き粉(歯磨き剤)を効果的に使うことが重要だ。その際、『“2+2+2+2”の歯磨きテクニック』を活用できるといい」という――。(取材・構成=フリーライター・宮崎智之)(後編/全2回)
(前編から続く)
歯磨きではどこを重点的に磨けばいいのか
――前編で、歯磨きは歯垢(プラーク)を歯ブラシの毛先で物理的にこすり取らなければいけないというお話がありました。具体的にはどこを磨けばいいのでしょうか。
歯と歯の間、歯と歯茎の境目、そして歯並びが凸凹しているところ、たとえば斜めになっている親知らずのかみ合わせの面などの部分ですね。そういったところに歯垢はつきやすく、そこに歯ブラシの毛先をあてることが大切です。もちろん、見える部分だけではなく、歯の裏側も磨いてください。
特に、歯と歯の間の歯垢は歯ブラシだけでは取りにくいので、デンタルフロスや歯間ブラシで清掃してください。また、「良い食習慣」も大切ですので、詳しくは歯科衛生士による指導を受けることをお勧めします。
ただ、裏側は唾液がつきやすく、唾液は洗い流す力や歯垢が出す酸を中和する力があります。とはいえ、裏側もきちんと磨かないと歯石がついたりするため、注意が必要です。歯石は歯周病の原因になります。かつ歯磨きでは取れないので、歯科で取ってもらうしかありません。下手に自分自身で取ろうとして、歯を削ってしまう人も時々います。
日本に渦巻く「歯を磨けばむし歯にならない」という誤解
――歯の健康には唾液が大切なのですね。
そうです。しっかり咀嚼して食事をすると唾液腺が刺激されます。唾液を出して、食塊をつくり飲み込むと、歯の健康にもいいですし、胃にも優しいなど、さまざまないい効果があります。
ただ歯磨きをするだけでは、むし歯は予防できません。重要なのは、フッ素を使った歯磨き粉を使うことです。具体的には、フッ素濃度が1000ppm以上のものが効果的です。日本では1450ppmのものも販売されています。